究極の料理

{地面から顔出し始めた天然ウド}
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自分が思う究極の料理は山菜料理であります。
なぜなら、山菜料理はまだ料理人にとって、未知なる世界だからであります。正直言って、まだ本職の料理屋さんの板前さんでさえ、開発していない領域であります。
板前修業の最初の勉強は、教科書通り、関東・関西料理から始めます。
郷土料理=田舎料理という観念が、まだ世間一般にあるようです。
郷土料理=日本料理という意識を社会全体が持たなければ、食料自給率が低く、輸入品に頼る事になるでしょう。ほとんどの食品を輸入していて、日本料理といえるのでしょうか?
板前修業は商売上でも、板前さん自身の価値観でも、多くは関東・関西料理を研究するのに一生懸命になりがちです。見た目も美しく、技術力も知識も値段も高いからに他なりません。
その中に、山菜料理は含まれません。
自分は青森という恵まれた食の王国にいて、究極の食材に直に触れる事が出来るので、まだ板前さんが踏み込んでいない、山菜料理の研究に励んでいます。
雪のあまり降らない地域では、山菜料理は不可能です。山菜は鮮度を食べるものです。一級品は東京に集まるとされてますが、山菜は栽培ものは野趣あふれるということはありませんし、山菜本来の味もしません。天然で採ってきたものは、輸送したりしているほんの2~3時間でも硬くなり甘味は無くなり、形だけで苦いものです。
{十三湖の白魚と蓬田の天然しどけ(一番人気のある山菜)}
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職業柄、色々なものを食べてきましたが、究極の料理は山菜料理と思います。
けれども、自ら山の奥に足を踏み入れなければ、美味しい山菜に出会う事は出来ません。
朝早くから夜中まで働く板前さんには不可能な事です。
市場で店頭に並んでいる、時間のたった山菜を買う事になります。
それでは山菜の真価は分りません。
自分は毎日は山へ入れませんが、親父と朝早く山菜を採りに山奥へ足を運びます。
朝4~5時に起き、9時前に戻り、山菜の処理を行います。
山菜は採って来ている間から、根元から硬くなります。硬くなるのを見越して、採るときは軟らかいところを指で探りながら採取します。理想的には採って来て、すぐに火を入れるなどの下処理が必要です。でなければ、山菜本来の甘味は味わえません。
採れたての山菜の甘さは、他の食材の追従を許しません。
野趣あふれ、香り風味豊かで、奥行きがあり、飽きることなく、いくらでも口に出来ます。そして、体を健康に浄化する薬にもなります。
{フォアグラより数倍美味い鯵ヶ沢のアンキモと天然アイコ。天然浜防風を添えて}
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北大路魯山人が‘料理王国’の中で、美味い食材を一通り挙げ、「北国に‘しどけ’という山菜があるらしい。」と示しているのですが、もしも交通が今のように発達していたらば、魯山人は青森から食材を調達していただろうし、山菜は食べに来た事だろう。と自分は思います。美食家と言われた魯山人でさえ、山菜の味わいは知り得なかったようですね。
都市部では山菜は採る事は不可能ですし、栽培ものは味気ないし、雪国から輸送された山菜は、日が経って、評価の対象にもなりません。
そして、山菜料理は田舎料理のレッテルを貼られてきたのもあり、鮮度のいい山菜にも触れる機会にも恵まれ無いため、板前さんはあまり好んでお店に出しません。何より、手間がかかる割には、商品価値が低いのが世間一般の評価のようで、商売に成りづらいものです。
自然が作り出した、芸術には人の作品はかないません。
食材も同じく、天然の魚介類は養殖されたものとはレベルが違います。
山菜の味は他の食材に比べ、頭一つ飛び出ています。
ブランド牛やカニ類、鮑やウニ、フォアグラなどの高級食材といわれるものは、美味しいですが、飽きます。多くは食べれません。毎日は食べれません。旨みの強いものは食べ飽きます。
採れたての山菜は、飽きる事を知りません。なぜなのかは、わかりません。自然の成せる業でしょうか。人工のものは飽きるものですが、自然は飽きません。
{出始めの天然笹たけのこ}
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自分は、食道楽としても、食べ物オタク・マニアとしても、世界一美味しい食材の筆頭に上げるのものは、青森県蓬田周辺の山菜と、日本一水の美味しいと言われる、八甲田さんの東側の山菜が一番美味しいと思います。豪雪地帯でなければ山菜は美味しくなりません。
けれどもこの意見に賛同してくれる人は、あまりいないと思います。
なぜなら、毎日食べる事ばかり考え、職業としても料理をしているからだろうと思います。
自分で食べたいものがあれば、何を差し置いても、買うし、作るし、研究するし、食べに行きます。あまりこの様な人はいないようです。
世界では日本食ブームのようです。けれども山菜料理はまだまだ未開の領域です。そしてこれからも未開のままだろうと思います。食べなれなければ、美味しさも分りません。一級品の山菜はそれほど量も多いものではありません。
採りに行かなければいけないのです。料理の技術力が無ければ美味しく調理できないのです。そして何より興味が無ければ美味しくないのです。
{笹たけと下北産コノコ(なまこの子)のお椀}
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東京では金さえ払えば、何でも手に入らないものは無い、食べれない料理は無いと言いますが、山菜料理は無理です。輸送しては味は落ちます。
ここでしか食べる事の出来ないものの筆頭は山菜料理です。
美味しいものに目のない方、是非、足を運んでいただきたいものです。
そして、食道楽の話をしたいですし、教えていただきたいものです。
あまり花もないし、インパクトもないし、高くも売れませんが、眠い目をこすって、自分は山へ入山菜とたわむれることでしょう。商売上あまりプラスにならないと知っていても、美味いものの力は偉大なものであります。
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{陸奥湾産シャコと天然ボンナ(世の中で一番美味しい食材かも)}

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by tk-mirai | 2008-05-03 00:49 | Comments(0)

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