雪と共に

{吹雪いて何にも見えません。紅白の棒は雪で隠れるので目印。雪の多い年は一番上の白いところまで雪で埋もれる。除雪のブルドーザーが壊してしまう恐れがある。・五所川原市内}
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30万都市としては世界一の積雪量を記録する青森市。
この豪雪地帯(津軽のほとんどの地域が豪雪地帯)で生活していく過酷さは少々精神的にも肉体的にも経済的にも容易な事ではありません。
ニュースで都会が大雪のため交通機関が機能しないと放送されていても、津軽の人々にとっては「たったそれだけで学校とかが休校するなら、青森では冬は毎日休みだじゃ。」と笑っています。
津軽では七つの雪が降ると、歌では歌われている。
わた雪、かた雪、こおり雪、つづ雪、みず雪、ざらめ雪、こな雪。でも、これだけでは無い事はここに住む津軽衆は知っている。
地吹雪。真横から吹いてくる雪は可愛いほう。真下からふぶく雪。目の前は真っ白に、視界は悪く、目を開けていられない。身も凍え、コートを着込み、マフラーをし、フード(コートに付いている帽子)をかぶり身をかがめ歩くのだが、風雪の為、前を見る事も出来ず、口をあけると風で押され息苦しく、真一文字に口をふさぎ、叩きつける雪に目を細め、眉間に皺寄せ足元見ながら足を進める。「何クソ、負けるものか。」と自然に対峙し、津軽の魂を育てる。
深々といつ降り止むとも知れぬ雪は、周りの音も吸収し、静かで美しく、そして、過酷である。
冬は夏より1時間~2時間早起きし、降り積もった家の前の雪を片付け、15分で付く距離も雪で道路は2車線が1車線になり、交通渋滞で30~40分掛かる。職場によっては着いてから、又雪片付け。お昼に雪かきをし、仕事が終わって家路も渋滞。帰ってからも雪かき。多い日は一日に5~6回も雪かきをしなければならない。
時間にすれば1日2時間近くも雪と格闘しなければならない。体は冷え、体力は奪われ、仕事も家事も思うようにはかどらない。でも、運動不足解消にはなる。
{雪で車線幅は半分に・青森市アスパム前}
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寒く長い冬のため、それにかかる維持費はいくらだろう?
暖房費(ストーブ類。電気・ガス・灯油)。コートやマフラー・セーター。ズボン下に冬用靴下。手袋・長靴などの防寒具。雪かき作業に必要なスコップ・スノーダンプ、時には氷を砕くツルハシ。冬用ワイパー・スタッドレスタイヤ、渋滞のノロノロ運転のガソリン、車の維持費。
これでは一人当たりのカップラーメン消費量全国一なのも致し方ない。長靴所有率一番なのも当たり前。ただでさえ貧乏県なのに、冬越しのお金も掛かり、雪片付けで体力も精神力も疲労していれば、時間も手間も取られていれば、手早く温まるカップラーメンほど役に立つものは無い。雪かきと低温で体力を消耗するので少し塩分濃度が高いものを欲する。決して、体に良いとは言えないが、致し方ないと言わざる終えない。
このところのマンションラッシュで、郊外の一戸建てを離れ、マンションに住まいを移りかえる家族は増えている。雪との暮らしはマンションがとても快適である。
津軽の多くの人々は「雪が少なければいい。」と毎年思っている。しかし、雪が降らなければ経済が回らないのも現実である。建設業界は冬場は本職が失業状態になり、除雪・排雪が仕事になる。エネルギー業界は灯油が売れなければ頭を抱え、服屋は防寒服が売れなければお手上げで、ホームセンターはスコップ・スノーダンプが売れなければ地団駄踏む。
{店の前を排雪(道路脇に溜まった雪を4トントラックに詰め込み陸奥湾へ捨てに行きます。)}
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実質的には日本一貧乏な県である。
所得は下から2番目。失業率は1番。ボーナスは最下位。と経済的な物差だけでは青森は何もいいところがない。
そんな厳しい環境の中でも生き抜いて生活している津軽の人々は、天に選ばれしエキスパートである。青森県人は都市部に比べ過酷な環境・自然の驚異に対して抵抗力がある。
この様な現状は多くの人が堪えられるわけではない。日本中の多くの人が経験し、現実を見れば逃げ出す事であろう。
けれども、ここで生まれ育った津軽衆はここから離れて暮らそう、都会へ出て仕事をしようなど微塵も思わないし、考えもしない。なぜなら生まれ育った青森を愛して止まないからである。
ここが世界一すばらしい土地だと思っている。ここで生まれ育った事を何より誇りに思っている。心の奥底から‘青森が一番’・‘青森がいいじゃ’と自信を持っている。
止めどなく降り続く雪を見ながら、「まんだ、雪かきだが~」と嘆きながらも「やっぱ、青森だな。こんでねえばまいねえじゃ。(これでなければいけない)」ともうれしく感じている。
なぜ、青森から離れよう、逃げ出そう。と思わないのか?
豪雪だから可能な事がある。
それは、普段の生活がどこよりも実に豊かだからである。
市内の至る所に天然温泉があり、中心から15分も車で走ればさまざまに変化を繰り広げる大自然。四季なんてものではない。二十四節気が肌で感じられる。日本一と格付けされる八甲田の名水と空気。八甲田や岩木山などなどの山々から届けられる豊富な山菜。肥沃な大地津軽平野の米や野菜や果物の数々。日本海・太平洋・陸奥湾・津軽海峡の異なる4つの海。十和田湖・十三湖・小川原湖・岩木川など淡水系から水揚げされる多種多様の魚介類は食材のワンダーランドである。じわ~と濃厚で米の旨みがストレートな地酒の数々。
{排雪後。視界が良くなりました。アスパム前}
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青森の普段の食生活の豊かさは天下一品。外食して青森の一万円は東京の三、四万円位。青森を訪れた事のある方ならご存知と思われるが、東京の美味しいと青森の美味しいの差はかなりギャップがある。天然の食材が溢れる青森と。お金の力で掻き集めているとはいえ、普段から新鮮で高いものを口に出来る訳はない。輸送で食材もくたびれている。無機質なコンクリートジャングルの環境。化学調味料と香料・薬品まみれのパック製品・既製品・冷凍食品のほうが大勢を占める東京。家庭の味には差がありすぎる。
人間にとって日々の生活の幸せとは何であろう?
巨大都市の中心の高層マンションの頂上で人を見下しながら、意味も中身も解らず、シャンパーニュ・DRCを手にアルザスのフォアグラとベルーガキャビアをつつく事だろうか。
一生懸命働き、温泉につかり、疲れを取り、目の前で繰り広げられる自然の営みを愛でて、自分で稼いだ日銭で美味い料理と酒を酌み交わし、金の話など一切なしにくどいほど人生を語り、気心知れた仲間と時間を堪能する事が何より幸せだと思う。
人に冷たく、お金に優しい社会など早く卒業せねばならないと思います。
青森には金で計れない豊かな生活がある。
青森には金で作れない豊かな自然がある。
青森では金を出しても味わえない豊かな食文化がある。
そして、青森県人は豊かさの基準はお金ではないと知っている心豊かな津軽衆がいる。
でも、当たり前すぎて、自分達の普段の生活が豊かだなんて、知らない人がほとんどだと言うのも、またここの土地の面白いところである。なぜなら、所得が少なく、食べる分は沢山あっても県外に出て見たり勉強したりする金銭も持ち合わせてぃないし、向上心もないのが地元人。一見無愛想で照れ屋な優しい人達ばかりです。環境がそうさせるのでしょう。
雪と共に生活する事は感動だらけです。都会の皆さん移住しませんか?
ホント面白いですよ青森は。
{吹雪の切れ間の岩木山}
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by tk-mirai | 2008-01-22 19:49 | Comments(0)

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