年越料理

{津軽おせち}
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津軽におせち料理の文化はない。
たぶん食糧生産率の高いところではそうではないかと思われる。
今の時代、毎日がご馳走の様で、普段の食事と行事の食事との境界線が無くなりつつある。
行事も薄らぎ、何かのイベントというとすっかり儀式のようになってしまっている。
津軽の年末年始の過ごし方はというと、大晦日にご馳走を食べ、ドンちゃん騒ぎをし、酒を浴び、朝方までワイワイ過ごすものである。その締めにお蕎麦。でもこれも本来津軽には年越し蕎麦の文化は無く、関東でやっているので「じゃ~やろうか。」と言うくらいである。そもそも津軽は米どころで蕎麦は無く、蕎麦は米が育たない地方のものである。そして元旦、昼ごろ目を覚まし、お酒が残る体に鳥と牛蒡の醤油ベースの出汁にせり(七草の一つ)を入れ雑煮を頬張るのであります。
お重に詰めたおせち料理の出番は無く、又、豊富な魚介類や根菜を利用した普段の食生活に戻っていくのである。
食べ物が回りにふんだんに有る為作り置きしたものをわざわざ何日も掛けて食べないのである。それだけ普段の生活が豊かな津軽である。
では、おせち料理は津軽に存在しないかといってしないわけでは無い。
おせちと銘うって、お料理屋さんでもホテルでも町場のフレンチでも中華でもイタリアンでもスーパーでも売っている。家で料理する習慣が無くなり、核家族化が進み、近年の忙(せわ)しない時代を反映し、その需要は年々増加しているようである。今ではコンビにでもおせちがあるくらいである。
といっても、津軽の皆様はおせちを買ってもその実態はおせちではなく、大晦日に食べる年越し料理であります。
おせちというものは本来、江戸や京都などで発達したものであり、大晦日はおせちを用意し、住まいを掃き清め今年一年お世話になった身の回りの道具や物に感謝し、年越し蕎麦を啜り、元旦に御屠蘇をし、お重を開け、お雑煮を三が日まで食べ、七草までおせちをたべたものである。
その為、おせちに詰めるお料理にはそれぞれ意味合いがあり、お雑煮にも決まり事がある物であった。その風習はいつの頃からなのかよく判らないが、年越し蕎麦を食べる習慣なども実は「細々とでも長く過ごせますようにとお蕎麦。」ではなく年の瀬の忙しい中、簡単に食事を済ませる為お蕎麦。そして年越し蕎麦が発達したと言う一面もある。ここでは津軽の年越し料理をご紹介したいのでおせちについては詳しく説明は省く事に致します。
{徹夜の盛り付け}
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津軽の年越し料理の代表と言えば、真鱈料理(昆布締め刺し、白子刺し、鱈子の塩辛、肝を使い共あえ、真鱈子人参子和え、あらでじゃっぱ汁)。アンコウ共あえ。酢だこ。大根と人参膾。なまこ。つぶと豆もやしの炒め物。牛蒡のデンブ。甘い茶碗蒸し。数の子。煮豆。身欠き鰊と昆布の煮物。春から秋にとった山菜を塩抜きして煮しめ。きんきん(金次)やカレイ類の焼き魚か煮魚。塩抜きした山菜料理の数々。それに平目やマグロ、ヤリ烏賊やホタテなどの刺身類と何種類もの漬物。などなど挙げたらきりがないご馳走を大晦日に食べるのであります。この頃はけの汁も正月中に食べられるようになった。その背景にはけの汁は手間がかかり大なべで作り置きしないと美味しくなく、正月でなければ家族や親戚が集まらないと言う生活習慣も滲ませている。
津軽の年越し料理は実に手間隙かかるものである。家庭からの料理の衰退に伴い作れる人も激減している。作れる人も気ぜわしい毎日にお料理からの開放を願い、買うことを選択する様になっている。料理もゆっくり出来ない世の中が決していいとは言えないが、その代わり自分がお役に立てればと、うちの店でも年越し料理を御用意させて頂いている。もちろん余計な説明が入り、くどくどとなるので、津軽おせち(年越し料理)と銘うって。
料理書や教科書に書いてあるおせち料理ではない。正直参考にしようともあまり思わない。なぜなら教科書に洗脳されると困るので、物心付く頃から婆様や母親から食べさせてもらってきた津軽の年越し料理をお重に詰める事を念頭においている。
冷凍食品や化学調味料などは使用しないので、お買い上げ頂いた御客様には早めに召し上がっていただくよう勧めております。あくまで年越し用と作っております。
冷めても美味しいお料理を前提として汁気のないもの、味を染み込ませたもの。そしてこの時期の津軽ならでは。と言うお料理を一段目にぎゅうぎゅうに詰め、二段目は自分の中でのお重料理の主役。たっぷりの津軽の煮しめをこれまたぎゅうぎゅうにお詰め致します。ぎゅう詰めにするのは持ち運びした時に崩れない為。その為二段重とは言え結構な量と重さになります。
何日も前から準備をし、直前の二日間は寒い中徹夜状態。これは真面目なお料理屋さんはどこでもそうであります。既製品詰め合わせの冷凍おせちとは別物であるはずです。
でも御客様には徹夜しようが何しようが関係のないこと、値段相応以上で美味しいかが重要なのであります。御客様に「又、あの煮しめが食べたいね。」と言ってもらえるために津軽の年越し料理をもっと勉強しなければいけませんね。
{津軽の情緒を込めて}
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by tk-mirai | 2008-01-04 15:28 | Comments(0)

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