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無味

{夕暮れの岩木山}
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‘料理は美味いか不味いかの前に伝わってくるものが無ければ無味になる。‘
諸先輩方から教わった言葉であります。どんなに高級な食材や立派な器、しつらいがあっても料理を作る側が食べ手の事を思いやり、調理をしなければ味気無いものになってしまう。作り手は食べ手の身になって、食べては作り手の身になって、食事を楽しむのが有意義な時間の過ごし方ではないでしょうか。ご病気のため半身不自由な御客様は、骨付きの魚は避けるのはもちろんの事、味が味覚が損なわれる、体裁が劣ると解っていても、小さめに包丁する、片手だけでも食べ易い様に盛り付ける。漆椀を直に吸っていただきたい職人の自己満足を捨てて、蓋を取り、レンゲを一緒に添えてお出しする。ご来店いただいた御客様の最初の言葉が「今日は冷えますね。」の一言で、予定では和え物からお出しするところをコースを崩しても、熱々のお椀からおすすめする。など御客様一人ひとりへのマニュアルの無い接客が、味のあるお料理を作るのではないでしょうか。
どこの町へ行っても、大手チェーン店が幅を利かせ、マニュアル化されたサービスばかりで、面白味にかける社会でありましょう。スーパーへ買い物へ行っても‘ピッピッピッ‘機械音ばかりで、無機質な笑顔で金額だけ請求されておしまい。内面から笑顔で「ありがとうございます。」と頭を下げてくれる定員さんはほんの一握り。店も一握り。広告、雑誌、テレビ、などで見た目がきれいで話していることが良くても、行ってみれば「何だ?これ?」。公共施設へ何らかの手続きに伺っても、どっちがお客さんだかわからない対応の仕方。(公共は必要なので公務員の皆さんお願いします。)街へ出ても、金融関係の看板ばかりと。味のある所を探すのは一苦労も二苦労もいたしますね。
‘作られた味よりも作り手の心を味わう。‘
味を超えた味。生身の人間にはこれが必要ではないでしょうか。
利益だけを追求するのであれば、全て機械化すればよろしいでしょう。スーパーのレジも、サッカーも競馬も全て機械がやればよろしいのではないでしょうか。
‘利益を上げなければ、人件費を減らさなければ、お金、お金、皆やっているから、普通の人は何も知らないから。‘という方法を選択するから、農家は自家用は農薬を使わない。医者は自分の子供には注射は打たない、などなどが起きてしまうのでしょう。
スポーツが機械化されれば無人のスタンドになるでしょう。であるならば、観客も機械になさればよろしいのかな?落語も機械が話をなされば、誰も行かなくなるでしょう。
色々な分野に於いて、個々に生身の人間の汗が見える社会にしなければいけないのではないでしょうか?
どこからどこまでコンピューターに任せ、どこからどこまで人間がやるという判断は非常に難しいと思われますが、出来ることなら御客様にとっても、自分にとっても、全て生身の人間が見える社会が‘味を超えた味‘であると思います。
これからはもっと無味に時代がなって行くことでしょう。ますます、人間の本質が問われることになるでしょう。人間は科学なのか、自然なのか。
どんどん時代は変化し、進化もするでしょう。
個人的には、ただただ美味しいものが食べたいので、何とか味のある時代に進んでいただきたいものであります。
by tk-mirai | 2007-07-28 15:12 | Comments(0)

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