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見えない主役

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{日本海側鯵ヶ沢の海岸から見える夕日。}
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料理の中で、お客様に実際には見えているのに、見えていていない物が有ります。
飲食店にお邪魔して料理を注文し、料理が運ばれてきてお皿や丼、器の中を見てみるとそこには調理された食材が盛り付けられています。
お客様方々の中には、その料理を食べて「旨い。不味い。」「魚がいい。肉がいい。新鮮な野菜を使っている。」「食材にこだわりがある。「ここの料理人の目利きは出来る。」などなど、質がどうのこうのと述べる方々は多いようですが、料理というものは食材だけを食べているわけではありません。
お刺身のように‘切る事によって味を作り出す’という料理を除いて、ほとんど全ての料理には調味料加えられているものです。
人が食材をさらに美味しく食べるためには料理・調味料は欠かせません。調味料の加えられていない料理はどうしても飽きが来るものです。それは、人には生きていくためには塩分が必要であり、体内に流れている塩分に近い濃度で調整された料理が丁度美味しく塩梅を感じるもののようです。
我々料理人は、必ず仕入れてきた食材を調味料をつけずに生で味見をします。食材そのものの素の味わいを食べてからでなければ、どう調理をしてどう調味料を加えていいかを判断出来ないものです。おおよそ個々の食材の味わいは経験から舌にインプットされているものですが、年度・季節・生産地・生産者など日によって味わいは微妙に変るものです。ですから、前もってその食材の今の味を見て調理に掛かります。
日本料理は他国の料理に比べ、極端に料理に加えられる調味料が少ないものです。
油やバター、香辛料、香草類、インパクトの強い調味料は食材の味が乏しいから必要になる要素です。
流通の関係などで、他国の料理もシンプルになり日本料理に接近しているようです。日本料理の手法を取り入れた料理をここ20~30年ほどで多く見かけるようになりました。勿論どこの料理でもシンプルな料理が昔からあり、それはいつの時代も美味しく食されているものでしょう。
{当店で使っている青森産味噌。この他に信州味噌・九州の麦味噌も使うこともあります。}
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日本は他の国に比べ、恵まれた環境の中で多様性に富んだ質のいい食材が入手可能です。
食材の質が良ければよいほど調理の数・調味料の数を増やす必要性はなくなります。美味しい食材はそのままでも充分美味しく、逆に余計な調理や調味料を加えると食材の持ち味を潰してしまい不味くなっていくだけです。
ですから、極端な言い方をすれば、日本料理の場合は出来るだけ質の良い食材を探しだしシンプルに調理をするのが一番美味しく食べる方法となります。逆に食材の質が悪いものは調味料を多用するものです。
当店のお客様の中には、お刺身やお蕎麦など調味料を加えられていない料理を醤油や出汁などを浸けずにそのまま召し上がる方々もいらっしゃいます。その様な召し上がり方をなさるお客様は料理人としてうれしいものです。その様な食べ方が、料理人そのものの質を判断するのに一番適した食べ方であり料理を美味しく食べる方法でもあります。
食材の目利きや衛生面、調理技術・知識などに偽りやほころびがあるとその様な食べ方が一番中身が判るものです。ですから、うれしい反面料理の腕を見極めもされているということもあるでしょうか?
何も浸けずに美味しい料理はほんの少し調味料を加えると更にもっと美味しくなるものです。
ところが、食材がいいのに加えられている調味料の質が低いという料理に出会う事があります。
いい食材なのであれば有るほど質の高い調味料が不可欠です。というか、いい食材にそこそこのレベルの調味料などではもったいないというのが自分の感覚です。商売を考えれば低コストの食材に力ずくの味わいを出す調味料をコーティングするのが利益も上がりいいでしょうが、自分はそれは、別なお店に任せることにしています。
{当店の味の名脇役。岐阜の本みりんと和歌山の酢。どちらもそのままで非常に美味しい。}
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質の高い調味料は、一般的に消費されている調味料の3~5倍の価格はするものです。
そして、身近ではなかなか見かけることも出来ない商品が多いので、判りづらいということもあるでしょうか?
それは料理と同じく、調味料も造るのに人的要素も多く、手間暇掛かり、時間も掛かり、コストが高く、大量生産が出来ず、価格もおのずと高くなり、一般流通することが難しいということも要因です。
それらの調味料が注目されないのは、多くの方々が調味料に対してそこまで執着がないということもあるでしょうか?
大量製品・工業製品で調味料や添加物がたっぷり加えられた人工的な食品が多く出回り、それに舌が慣らされ判断基準が汚染されしまい本物を味わえないということも有るでしょうか?
料理がいいということは食材の質や値段がいいだけではなく、調味料もそれだけコストを掛けているという事です。その見えない調味料を食べ分けれるということも美味しい料理を食べるには必要な要素です。
日本酒やワインなども同じく、姿が見えにくい料理かも知れません。米や葡萄が原料ということは把握していても、その中身まで認識するには経験が必要になります。
日本酒であれば「純米系だ。アル添系だ。」「原料米は山田錦だ。愛山だ。美山だ。雄町だ。」造りは「速醸だ。山廃だ。生元だ。」ワインであれば「カベルネだ。ピノだ。シャルドネだ。」「香料加えすぎだ。農薬たっぷりだ。」「ステンレス発酵だ。樽香利かせ過ぎだろう。」「選抜酵母だ。天然発酵だ。」などなどが、味わってすぐ判る様であれば味覚は上々でしょう。
なかなか調味料について話されたり料理の評価対象に加える方は少数派かもしれません。が、「食べ歩きが好きだ。」「料理が好きだ。」という方々は是非調味料などについても見識を深めて見えない料理の要素を楽しいでいただきたいと思います。
料理の本質は人と同じく、見えないところに見え隠れしているものでしょう。
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{当店の味の土台となる出汁材。カツヲ厚削り。青森特産鰯焼干し。小鯛煮干。鰹血合い抜き。これらもお客様には直接お目見えしないもの。}

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by tk-mirai | 2016-05-17 23:04 | Comments(0)

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