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品質

{山の神が宿る十二本ヤス。金木町。}
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毎日のように厨房に立って料理を作り続けていくことで、とても重要な仕事のひとつに品質管理があります。
お客様からご予約を頂戴してもしなくても、来るか来ないか分からない中も、毎日毎日料理は作り仕込みし整え営業に備えます。
活用出来るのか?出来ないのか?売り物になるのかどうかも分からなくても、何種類もの料理を準備しておくのですから、ただの無駄働きになることもあれば、良い仕事になることもあります。
お客様にお越しいただいて召し上がっていただければ価値はありますが、仕込んでおいて出番がなければ赤字になるだけであります。
飲食店にとって食材のロスが一番懐を痛め、台所事情を悪化させますので、ロスを出さない為に何かかしらの工夫をするものでしょう。
ある大店は大量生産し冷凍や真空パックし、必要な分だけお客様に提供しロスが出ないシステム作りをしたり、とある大店は、一番需要が多い時間帯を見越して作って置いて、そこで利益を見積もって一定時間出なければ破棄をしてしまうという方法を取っているところもあるでしょう。
個人の料理屋などになるとその様なシステムを導入することは出来ませんので、経験上から「何人分」と割り出してその都度必要な分を仕込むものです。
当店ではいくつかのコース料理を用意している為、大小合わせ少なく見積もっても三十種類ほどの料理は準備しておきます。その中の七割方の料理は完成までの七~八割の段階まで仕込んで、後はお客様が来てから、切るなり焼くなり調理してお勧めするものです。自分は年々細かく仕込みをするようになっているのですが、お客様に感謝申し上げますが、去年のデータではほぼロス無く仕事が出来ました。
料理によってはお客様が来る前に完全に完成させておかなければならない料理もございます。
薄味で煮含めて味を馴染ませておく物や漬物や浸し物、和え物の中でもその瞬間で和える料理と直前に和えて少し味を入れるもの、完全に合わせ味を一体にしておくものなどその料理料理によって調理の度合いは様々です。
{刺身箱。津軽海峡天然活締めフグ。ヤリイカ。油目。ホタテの真子・白子など。}
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この辺が日本料理のちょっとした特徴で、冷めて食べること、常温で召し上がっていただくことを前提にした料理や一日二日かけて内部まで味を染み込ませ完成させる料理が多々あります。時間が作り出す料理が実に多いものです。日本人が開発したお弁当仕事やお節料理などが良い例でしょうか?もともと、日本料理以外の世界の料理にお弁当仕事・おせち料理仕事などは無かったようです。
洋食や中華では保存させる料理以外に冷めて食べること・常温で食べること、味を含ませたり出汁などで味を浸しておく。という料理は少ないのではないかと思います。
どうしても脂を多用しますし、フライパン・オーブン仕事が多いため、冷めた料理よりは熱い料理が中心です。
脂を使った料理は冷めると硬くなりますし、食べても口の中が脂で覆われてしまって食べ辛く、中まで味を含ませるという料理が少ないようですから、ソース物は冷めると味も別物になってしまうものです。
サラダ以外の冷めても美味しくいただけるものといえば、ピクルス・生ハム・パテ類・チーズ類・デザート類などフレンチ・中華・イタリアンの辞書を拝見したり食べ歩いても、和食に比べると冷めて・常温で食べることを前提とした料理や和え物などは随分少ない様に感じます。(勿論、冷めたものを食べる必要はないですし、熱々の料理が洋食・中華にとってのご馳走ですから熱々を食べれることはいいことです。和食よりも温度に敏感なところが優れた料理でもあります。)
調理しておき切るなり盛るなりしてすぐ提供出来る和食の料理の寿命はとても短いものです。ピクルス・生ハムなどに比べれば全然日持ちがしません。漬物類も数日。煮含めたものも二日三日。和え物は一日程。物によっては数分だけ維持できる料理もあります。長く持たせようと思えば佃煮にするか酢を利かせた料理にするしかありません。
自分の店で前菜などの数種類の料理を盛り合わせたものでも、お客様がご来店する直前に和えたり、数時間前に煮含めたり、味を馴染ませたりして味を調えておく料理もありますが、そういう料理は大抵その日限りの寿命であり作り置きは出来ません。
その他寿命の短い料理に‘お刺身類’が筆頭であります。こればかりは、和食屋・お寿司屋さんは管理が大変なものです。
特に天然物、天然活締めものなどを多用しているお店は来る日も来る日も毎日魚を卸して生魚を用意して管理していなければなりません。原価・仕入れ・維持費は他の料理を圧倒しています。
貝類は別ですが、それ以外の生食を前提にした生魚の寿命は、魚の種類・個体差によりますが一日~二日程度です。お店によっては、何日も熟成させて提供することもあるようですが、経験上自分は敬遠する仕事です。
{十周年限定七力。田酒古城の錦35生。豊盃大吟醸中取り原酒五年熟成。亀吉亀の尾純米大吟醸。}
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それ以外にも何種類もの食材・料理が日々刻々と変化・劣化していくものですから、職人はその御守りに店に張り付いていなければなりません。絶えず様子を伺い面倒を見ていなければなりません。その管理を怠ることは自分の首を絞めるようなもので、「腐らない商品を売る商売はいいな~。」なんて他のご商売の苦労も知らないで無責任なことを考える時もありました。
時には今まで「忙しい。」「間に合わない。」などの理由で、自分では気づかずにお客様に大変失礼な料理を出したこともあるかもしれません。自分が認識していないだけで、あるお客様にとっては受け入れられない料理をお出ししたこともあるかも知れません。今は出来るだけその様な状況を起こさない為、品質管理をより一層念入りに行っています。
それでも残念なことに、過去にその様な状況が発生していても料理は腹に入れてしまうと後戻りは出来ません。昨今は「取り合えず売ってしまえ。後から欠陥はリコールすればいい。」という風なチェック不足の不良品とも思える商品を平気で売る時代です。二~三年で壊れる商品を平気で売れる時代です。が、料理屋はリコールは出来ません。「もしかしたら、お客様に不都合な料理をお勧めしてしまったかも知れません。もう一度機会を頂けないですか?」「先日の料理は不具合です。もう一度ご来店いただいて、修正しましょう。」という訳にはいきません。
現代は忙しさ故かお客様は答えを早く求めがちです。一回だけで答えを出してしまう風潮があるようです。少しでも気に入らないものがあれば否定をされることもあります。お客様個々の好みを把握していればそれなりに対応出来ても、把握出来る前にそこまでお付き合いいただけないこともあります。
何日か掛けて作って、こまめに味見をして、お客様に出す寸前まで何度も味見を繰り返してお勧め出来る料理もあれば、その日作り立てで一日しか寿命のない料理でも味見をしてみて商品としてお勧めできない料理もあります。ご予約を多く頂いているのに天候不順で時化て魚が入荷しない時もあるでしょう。朝に目利きをして、姿・形・状態がよく、目の前で活け締めした表面上は最高の魚が、店に来て何手間も掛けて下処理をして包丁で卸して開いて見たら、血が走っていた、虫が無数に寄生していた。などと使い物にならないこともたまにはあります。
料理の品質管理は、まめで清潔で心配性で短気で料理好きでなければ長持ちしません。
料理屋を生業としていると、料理だけでなく日本酒・ワイン・器・装飾品・店舗などの品質管理も然り、一番の神経・勘所は自分自身と一緒に働くスタッフの品質管理がもっとも重要であります。
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{百年を超える林檎の古木。柏村。}
ヤフーブログ‘食の桃源郷 青森’もご覧ください。
ライブドアーブログ‘世界に誇れる青森の郷土料理’もご覧ください。
by tk-mirai | 2014-04-02 00:15 | Comments(0)

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