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外食のすすめ1

{千数百年の息吹を感じる日本一の深浦町の大銀杏。}
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外食をするとはどんなものでしょう?
楽しみでしょうか?お付き合いでしょうか?仕事でしょうか?社交でしょうか?
人それぞれ、その時その時の外食の意味合いや過ごし方というものは違うものとご想像いたします。
もちろん巷にある飲食店も、多種多様なジャンルがあり、お客様方のその場その場の状況によってお店を使い分けるものだと思います
今日は、彼女との初めてのデートだからお洒落なレストランで。今日は会社の接待だから個室の料亭で。今日はうん十年の仲間との飲みだから気軽な居酒屋へ。チェーン店はもう卒業、気軽に「パスタやピザでも・・・。」と洋食屋へ。お互い付き合いが長く、もう洒落た店というよりは、ささっと「鮨でも摘もうか。」とお鮨屋さんへ。何となく今日は一人で飲みたい気分、音楽でも聴きながら洋酒でも嗅ごうかとジャズバーへ。今日は自分の両親に感謝の気持ちを込めて、でも堅苦しくないちょっと気の利いた美味しいカウンター割烹のお店に。
などなど、飲食店はさまざまなお店があるから楽しいものです。
その状況によって使い分け出来る選択肢が沢山あるのが楽しいものです。
個性があって他とはちょっと違う気の利いた料理やお酒があって、マニュアル化されていないサービスも楽しめる居心地の良い小さなお店が町中に溢れていることが、その土地の財産です。
200~300円の牛丼屋さんやハンバーガー屋さんで接待とか、初めて彼女の両親を持て成すことなどする御仁はいらっしゃらないでしょう。
{青森では6月前後にお目見えする路地物いちご。これを食べると2~4月の栽培イチゴは味気ないかな~。}
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昨今は広告や雑誌・情報誌のほかにネットなどなどで、随分情報が多くの皆様に行渡って今まで知る術もなかった飲食店情報が見て取れる時代です。
一昔前まで、テレビやグルメ雑誌やガイド本、中には評論家やグルメライターの発信する嘘か本当か分からない情報に振り回され踊らされる回数も減少傾向にあるようです。
今は一般のお客様が自分の価値観で色々なジャンルの業界を批評しているようです。
「あそこのメーカーのものはどうのこうの・・・。」「あっちのサービスはどうこうだ・・・。」などなど、各ジャンルが巷では手厳しい評価を皆様から頂戴していることだと思います。
特に飲食業界は多くの方々にとって御手頃のためか、厳しい評価対象に持ち上げられ晒されているのが実情だと思います。
それでも一般の方々に届かない情報が飲食の中にもあると思います。板前さんは、発信力や営業力は無いに等しいですから、皆様に伝わっていないリアルな情報もあるものです。
それは本職さんの持っている意識や技術、知識や哲学などなどはなかな発信される事は少ないものでしょう。テレビやガイド本などにも、映し出されない楽屋話が沢山あるものです。いくら取材や食べ歩いても異業種の方々には表現が出来ないことも沢山あるものです。
自分の様な飲食業を生業としている者は、お客様から戴く情報のほかに、業界ならでわの情報誌や専門誌、業界関係者のリアルな内輪話が入ってくるものです。
そのようなものは、なかなか一般の方々が目にしたり接したりする機会は少ないものでしょう。
勿論、我々同業者はそのような内輪話を軽々口に出すことはありません。
{天然うなぎの産地、青森県内最大の湖小川原湖。}
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普段は、飲食以外の業種に接している時間の長い方が、空いた時間や余裕のある予算内で、数時間だけ飲食店に接して表面だけをご覧になっている評価の仕方と、自分の様に365日24時間といっても過言ではないくらいどっぷりと飲食業に漬かっている者が、お客さんとして飲食店を見る評価や視点などは違うものでしょう。
自分の場合は単純に「食べるのが好き!」という理由から、板前になったものです。
ですから、出来れば朝から夜遅くまで料理を作り続けてお客様に提供する立場より、時間と台所事情に余裕があって、その日の気分でふらっと飯を食べに行くほうが理想的です。カウンターの内側に立つより外側に陣取っているほうがいいでしょう。
「自分の娯楽を仕事に選んだのは大きな間違いではなかったのか・・・?」と夜も寝ないで昼寝して考えた時期もありました。今ではもう諦めて、自分を説得して自然体で料理を作っているだけかも知れません・・・。
時折お客様から「あそこのラーメンは美味しいよ!。」「どこそこの、ケーキは美味しい!」などなど有難い事にとても役立ついい情報を頂きます。
その情報を提供していただいたお客様が次に来たときの「話題になれば、自分の勉強になれば・・・。」と行ける機会があればそのお店にはお邪魔するものです。
ところがたまにそのような情報を頂いてお店にお邪魔してみると「んん~・・・。」と、お客様と自分の見ている視点や角度の違いに気付く事があります。
例えば、お客様が「美味しい!」とご紹介いただいたラーメン店にお邪魔したときなどは、ラーメンは美味しいと聞いていたのでそれはいいのですが、葱の切り方が成っていない、その切った葱の保存が成っていないから乾いて香りもない、、真直ぐに包丁を下ろせないからチャーシューの厚さや角度がバラバラ、寒いのに丼も具材も温めないからラーメンがぬるい。仕込みをしていたのか営業時間中なのに鍵を閉めてお客さまが来ているのに気付いているのにドアを開けることもしない。などなど「このお店はちょっと基本のお勉強を疎かにしているな~・・・。」などと感じることもあるものです。
単価の低い個人のお店になればなるほど、そのような傾向が見受けられます。もちろん、数百円のものにサービスやプレゼンテーション、設備がどうだ、器がどうだ、などなどを求めるのは間違いです。
それでもお客様を迎える側であれば最低限クリアーしておかなければいけない仕事があります。
{もずく類で一番繊細な深浦産花モズク。少しずつ包丁で掻き分けごみを取り除きます。}
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自分の様な飲食を本業にしていれば、まず器の中よりそれ以外のことに自然と目がいきます。
いい食材やいい器を使っていることなど関係なく、挨拶が出来ている。掃除が行き届いている。身なりが清潔である。お客さんに対して僅かでも配慮がある。包丁がまともに使える。食材の管理が出来ている。その様な基本的なことがとても大事で疎かに出来ない部分です。
自分でお店を商いしていれば、お店の佇まいを見ればある程度その店の内容は把握出来るものです。
自分以上の仕事をしているお店であれば、中には気付かない部分もありますが、大体は見て取れるでしょう。
いろいろな情報が氾濫していますが、飲食業を生業とする自分が客の立場になって、中からも外側からも多様な角度から飲食店を見たとき、皆様にお伝え出来る外食のすすめは料理の中身ではありません。
料理屋やレストランの利用法、楽しみ方をご紹介したいと思います。
例えばお鮨屋さんなら「アナゴと〆物(鯖やコハダ)で仕事を見るでしょう。」、お蕎麦屋さんなら「粉がどこそこだ。二八だ。外一だ。返しはどうだ。」などという声を巷で言うようですが、その様なことより、すべての飲食店に通じることですが、そのお店の職人さんの人柄、身だしなみ、店内外の清潔感、サービス精神を見れば美味しい料理が作れるか否かはご理解いただけることと思います。
勿論、お客様がその様な観点を見たり判断したり感じたり、その店の中身が十分の一でも把握できる価値観も備わっていることをご理解いただきたいところです。飲食への執着心、経験、金銭的余裕、もって生まれた味覚・感覚などなども必要です。
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{弘前城のお堀の蓮。}
「外食のすすめ2」 次のページに続きます。
by tk-mirai | 2013-06-19 22:19 | Comments(0)

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