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高座

     ~営業のご案内~
  7月17日(日)は営業いたします。
  よろしくお願いいたします。


{仕込み中によく聞く講釈。}
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先日久しぶりに‘講釈’を拝見する機会がありました。
前回お邪魔した時は、上方の大御所さんが青森でも一番大きな会場でお弟子さんを引き連れ演じていたのですが、驚くほどお客さんは入っていなく、「これはやる方も見るほうも難儀だな~。」と見ていて心配になったものでした。
‘暇があればテレビを見ているか博打をしているか’の娯楽も教養も無いお土地柄の青森では「なかなか落語を見に行く人などいないのかな?」とその時は思ってしまいました。
芸も料理も演じるものとお客様とが同じ気持ちになって始めていいものが出来上がるものです。
どちらか片方がやる気充分でも、片方はまったく興味がなければそんなものは無意味で時間の無駄使いで、寝ている方が充実しているものです。
何にしてもお客様が少ないというのはやる気が出ないものでしょう。
噺家の皆さんは自分の芸を磨いて、お客様に見ていただきたい、聞いていただきたい、笑っていただきたい、楽しんでいただきたいと願うものでしょう。お客様のほうはその芸事を拝見して時間を楽しみたいと聞き入るものでしょう。
料理人もご来店いただくお客様のために朝から営業時間以上の時間をかけてせっせ、せっせと仕込みをして、美味しいと言っていただきたい、時間を楽しんでいただきたいと来る日も来る日も毎日毎日朝から夜中まで台所に立っているものです。
お互いの気持ちが一つの方向に向って一致した時というものは有意義な時間が過ごせるものでしょう。
そのために芸人・職人は日々努力している事でしょうし、お客様もそのための御足と時間を作って楽しみにしている事でしょう。
今回お邪魔した会場は、青森でも老舗の小さな映画館。「当日券でも大丈夫だろう。」(前の日にそのイベントを知った事もあり)と高をくくっていたところ、開演15分前に行くとびっちりと席が埋まり小さな会場に沢山のお客さんが詰め掛けておりました。
ほぼ満席、250人ほどでしょうか。スクリーンの前に高座が設けてあり、噺家さんとの距離もどの席からも近く一番後ろに座っていても1,2ほどの視力があれば顔がはっきり見える距離であり臨場感たっぷり。
度々この劇場では落語を企画している為かお客さまの入りは毎回いいようであります。
「こうじゃなければね~。青森にも落語好きがそれなりにいるじゃないすか・・・。」と思いながら噺家さん方の芸を拝見していると「ふと・・。」気付いた事があり、「落語とカウンター割烹は似たもんだな~。」と感じたものでした。
臨場感、お客様との近い距離、お客様のリアルな反応、演じるものはミスは許されない、緊張感などなど共通点が沢山あることに落語を聞き忘れ、噺家とお客さんの立場を入り交えながら考えたものでした。
噺家さんは笑ってもらおうと講釈をしていても、それは演じてみなければ分らない。
一語一句の反応がリアルタイムで逐一感じ取りながら演じなければなりません。
やり直しは利かないし、ミスも許されない。
落ちで反応がなければ場は沈むし、演じた甲斐も無い。
逆にお客様は楽しみに来ているのに、聞いていてもつまらなかったら時間も御足も無駄になってしまいます。
直にストレートにお客様の反応や声が見える聞こえるという点で、カウンター割烹も同じようなものです。
{キュウリ仕事をする時期が来ました。イボが無く柔らかい歯ざわりが特徴の弘前産コロきゅう。}
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10軒ほどのお店で働いて来て、カウンターの面白さと辛さを味わってきた自分は、お客様との距離と臨場感、目の前での反応やお客様との会話で随分と勉強になったし、苦い思いもしてきたものです。ですから面白いしやりがいもあるというものです。
なかなか直接的にお客様の反応を体感できる仕事というのは少ないものです。
それも自分で商品を拵え、直接お客様に対峙して売り込み勧め反応を見ることはあまり無いものでしょう。
隔離された厨房で、下げられたお皿を見てお客様の状況や反応を判断する事は経験上あまり成長はしないものです。調理と給仕が分業されていてもいけません。
我々料理人はどちらかというと身勝手で自己満足で自分の思い通りの料理が作れれば「後は知ったことじゃない。」と偏屈に思いがちです。
ところが目の前で料理を作り、直接自分でお客様にお出ししてお料理や接客などの反応を直に伝えられるとそんな考え方ではやってはいけません。
目の前で楽しみにして来てくれているお客様の為に、「喜んでもらおう、楽しんでもらおう。」と自分を磨くものです。
自分の作った料理がたとえ全部が全部自分で納得して作っても、お客様一人ひとりには趣味趣向があり、全てを納得していただくわけではありません。
ですから、出来るだけそのお客様の好みを把握し、自分と感覚が違ってもそのお客様に喜んでいただく為には自分の自我を捨て、目の前のお客様に合わせて料理を作ることもカウンターでは必要な事です。
当店のようにカウンターに仕切りも無く、全てをさらけ出してお客様に料理をお出ししていれば、色々な反応が手に取るように分ります。そしてお客様の声を直に利く事が何より自分をお店を向上させます。
カウンターで商っていると、喜んでいただく事も多いものですが、どちらかというと人間というものはマイナス的な否定的な意見の方が心に残るものです。
「美味しい。」「楽しい。」と言って頂くよりも、「美味しくない。」「好みじゃない。」などと言われる方が印象に残りますし、考えるものです。
けれども、お客様の厳しい意見が何よりお店を成長させるものだと自分は思います。
お客様の意見に耳を塞いだり、聞き耳持たずに自分の好き勝手に料理してもお客様には喜んでいただけません。
カウンターに立っていると知らず知らず自分を捨て、お客様の声に素直に接する事を心得るものです。
自分なんぞは「この料理いつもと何か違うんじゃない?」「いつもよりちょっとしょっぱいな。」などと目の前でお客様は遠慮なくストレートの意見をしていただけます。何も言わず表情で意見を伝える方もいらっしゃいます。
何度もお越しいただいているお客様は面白くなくて、気に入らなくてお店側に意見をしている訳ではありません。
お店の為を思って応援したくて厳しい意見を投げかけるものでしょう。
ですから店側はどんな些細な事でもお客様の意見は素直に真摯に受け止め、お店を改善・向上するように勤めなければいけないものです。
{夏にはスッキリとしていいでしょう。シャサーニュモンラッシェ。}
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料理人は作る側としてもプロでならなければいけませんし、お客さんとしてもプロでなければならないでしょう。
自分自身がお客さんにならければ自分のお店のお客様の気持ちも分りません。
ですから色々なお店に食べ歩き、自分がお客さんになる状況を頻繁に繰り返さなければいけません。
自分自身が毎度毎度お客様から手厳しい意見を直説戴きそれで成長している為、自分がお客さんになって何度もお邪魔しているお店には、ご迷惑と思っていながら自分なりに意見を述べますし我儘もいます。大抵は嫌な顔をされて嫌われますが、同業だから言えるし見えるし意見も出来るものです。ですから、嫌われても人情のあるお店にはまたお邪魔するものです。
気に入らなければ多くのお客様は何も言わずに消えてしまうものです。
その理由を「合わなかったんだろう。」「自分の好きにやってそれで気に食わないならしょうがない。」と決め付けて考えてもお店は磨かれません。
ですから、厳しい意見を言っていただくお客様はかけがえの無いお店の財産でもあります。
好き勝手自分の我儘しゃべって後は来ない無責任な方々もたまには居りますが、そんな意見の中にも学ぶところはあるでしょう。
料理人よりもお客様のほうが色々なお店を知っていて、話題も経験も豊富です。
お客様の正直な意見は落語と同じく説法のようなものでしょう。
ほんの少しでも耳を傾け聞き入れれば仕事はレベルアップします。
落語のすばらしい所は、面白おかしく義理人情・人生観・経験談などを聞かせてくれるところです。
あるお客様が「落語はもともとお寺の和尚さんの説法が始まりで、まじめな話ばかりでは聞いてくれないからそれを笑い話を交えながら説教したものなんですよ・・・。」と教えていただき、少しばかり調べてみたら‘高座’という言い方もお寺の本堂の御仏前の説法する僧の席が少し高くなっているところから来ているとの事。
こんなお話を聞けるのもカウンターならでわの事であり、お客様と会話をすればこそでしょう。
もともと自分が落語を聴くようになったのも「落語聴くといいよ。勉強になるから・・・。」というカウンターでのお客様の一言がきっかけです。
今の時代美味しい料理だけではお店は継続出来ません。
そこに落語のような義理人情話やボキャブラリーなどの物語も必要です。
美味しい料理には人情がたっぷり詰まっているものです。
もっともっと頻繁に青森でも落語が企画され楽しめる様になればいいと思います。

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{七里長浜の世界最大規模らしい最終氷河期埋没林。}

ヤフーブログ‘食の桃源郷 青森’もご覧下さい。
by tk-mirai | 2011-06-30 22:10 | Comments(0)

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