天然活締め

{融雪地帯で寒さをしのぐ鳩}
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今年はどんな年になるのでしょう?
ここ数年、楽しい話題はなかなかお目に掛かれないものですが、「楽しくなかったら自分たちの手で楽しくすればいい事。」と自分を説得し、楽しい方向へ進むよう気を向かせるものですが、何と言っても周りの環境が追従もしくは先行しないと、楽しい話題とはならないものでしょう。
我々料理業界で言えば、昨年は稀に見る気候の激変で、食物特に天然食材が絶滅したかのように姿を消してしまった事で、良い食材を求める職人気質の飲食店は「何料理しよう?」と悩んだ一年だったと思います。
スーパー・デパートなどにお邪魔すれば、溢れんばかりに食材は並び、所狭しと商品が棚を埋め尽くしているものですが、そのほとんど多くは加工・既製食品、輸入品、薬品・添加物まみれのもので、決して健康的、自信を持ってお勧め出来るものでは無いような気がいたします。
その為、益々天然食材は稀少品になり、お値段はお安くなる事は無く、昨今のデフレとは無縁なもののように思います。
自分が天然食材をお店で利用する理由はとても簡単な事で、「目利きがしっかりしていれば、それが一番美味しいから・・・。」という事ですね。自分でも添加物まみれのものや養殖魚が食べれないのも関係いたします。
近年の大量生産の食品をビクともせずに食べれる方々を羨ましくも思ってしまいます。
化学調味料や添加物を食べ分けれる人は、その様な食品を口にすると具合が悪くなったり、肌に吹き出物が出たりなどの症状が起きるものです。
既製品や添加物まみれの食品を口にすると、体が拒否反応する方は少数派で、その様な方々は食べる事に随分とお金がかかってしまうものです。(健康的な食品はお値段がいいものです。)
ですから安いに越したことは無いし、添加物まみれのものを美味しく食べれる事がどれだけ経済的な事か分りません。
けれども天然食材は体に優しく健康的で、大量生産商品より美味しい事は間違いありません。
{冬の煮魚の王者ババガレイ。活締めを煮付けます。}
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中国の古典の中に「野鳥は人から餌は貰わず、山菜は人の世話は受けない。その風味はもっとも美味しく清らかだ。」と言う一文があります。
その文を目にしたとき「言い得て妙だな!」と思ったものです。
誠に身勝手で、個人的な見解ですが、天然食材以上に美味しいものは他に無いと言えるでしょう。
青森県という天然食材に恵まれた環境に住んでいる事が自分にとってはとても幸せな事です。
現代では多くの方々が、天然物を口にする機会はほとんど無く、都市部に住めば住むほど限りなく天然食材を食べるのはゼロに近いでしょう。
巷には大量の既製品・加工食品ばかり溢れ、多くの方々が天然物か養殖物か、無添加の食品か添加物まみれの食品かの区別も付ける事が出来ない様に見受けられます。
その様な環境を社会全体が作ってしまったのでしょう・・・・。
自分が思うに、青森市民は世界的にも魚食いの人種であると思います。
日本海・陸奥湾・津軽海峡・太平洋の四つの海に囲まれ、十三湖・小川原湖・十和田湖や多くの川があり、そこから短時間で海産物などが集まる場所であります。
その様な条件の土地は他では無いことと思われます。
市場で海産物の‘競り(せり)’が一日2回あるのも珍しい事のようで、前の日や県外から運ばれた海産物を朝5時に競り、その日の朝に青森海域で揚がったものを昼前10時に競り11時頃には魚屋さんの板台に飛び切り新鮮な魚が上がるという環境であります。
ですから、青森市民はいつでも新鮮な海産物を食卓に上げることが出来るので食生活は贅沢なものです。
{ババガレイを霜降りしたもの。「火を入れるから少しぐらいの鮮度が落ちても・・・。」と考えがちですが、活締めを焼いたり煮るからさらに美味しくなります。活締めを霜降りすると身が活かってボコボコになります。}
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熱帯の魚と寒いところに住むお魚さんでは、寒いところに住む魚が味はいいようでありますね。
雪の積もる地域と積もらない地域では、積もるところの食材が美味しいようです。
寒すぎても脂ばかりの魚になり味は無くなります。流氷が来る地域よりも南よりがいいようです。
海水温が同じくらいでも日本海側と太平洋では魚の種類も味わいもまったく別物です。
日本海側の魚は多種で繊細で特に白身魚が味わいがあります。太平洋側はどちらかと言うと魚体が大きいものが多く大味なものが多いですが、赤身の魚や青魚、火を通して美味しくなる海老類がいいですね。
出来れば、海流が交差する海域が美味しい魚を育てます。
その様な環境は津軽海峡が絶好のポイントでしょう。津軽海峡は四つの海流がクロスします。
そして天然生簀陸奥湾。多くの河川が流れ込み汽水域に近い環境を作るのか、ホタテやフジツボ、ナマコやトゲクリガになど特殊な海産物も育てます。
とにかく青森近海は多種多様な海産物を生み出し、食材の宝庫(米・野菜・果物・畜産もそれぞれ海産物とお同じくらい生産量があります)、海産物の宝庫でありますね。
それからどんなに輸送システムが進んでも海産物は旅すると味は低下するものです。
海岸に面している地域と海岸から車で30分の土地柄では、魚を食べる文化に格差があります。
どんなに輸送システムが進んでも盆地では美味しいお魚さんは食べれませんね。
{2.1k津軽海峡天然活締め寒平目。}
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自分が新鮮で美味しい魚介類を幼少から口にしている事が贅沢な事だとは、社会人になってから分ったものです。
そして活締め(活きている状態で魚の神経を切断し、血抜きをして活きた状態を保つ)の魚が一番美味しい事などは料理業界に入ってから身に付いたことです。
魚はメスとオスではメスが美味しい事は自分で店をやってから分った事です。
毎日朝に市場に出掛け、その日の朝に水揚げされた天然魚介類を買い求め、自分で包丁を持ち捌いて下処理して味見してその様な事は憶えていったものです。
仕事柄毎日その様な事を繰り返していると、天然物か養殖物か活締めか野締め(血抜きもせず、そのままご臨終したもの)かも食べ分けれるようになり、一番美味しいのは天然活締めの魚と思いますね。
天然物と養殖物では値段に格差があります。活締めと野締めでも値段の格差があります。
自分のお店で利用している魚は10割天然物で、そのうち9割5分は活締めの魚で、野締めのものは甘鯛と喉黒(喉黒の活締めは見た事ありません)、さば・鰆・本マス・カレイ・ハタハタ(活締めも時折有り、有れば活締めの物を買います。)ぐらいのもでしょうか。
お値段はどうしても張ります。でも、そのほうが美味しいし、持ちもいいものです。
何人かの方に、「飲食店で使ってるものはみんな同じもの使ってるんでしょう?」と言われたことが有ります。
飲食店の値段の格差の第一は、食材の原価が違い、それがお会計に反映されます。
毎日飽きるだけ味見しているから身に付くことで、飽きるまで食べて無い方にはその違いは分らないかも知れません。
けれども自分が一番美味しいと思うものを作りお客様に勧めるのが職人であり、経営優先であれば電話注文で終わらせ、毎朝買い物など出かけないし、天然ものましてや活締めは利用する事は無いものですね。
{真冬に太った津軽海峡天然活締めマコガレイ}
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美味しい魚を食べる為に心得ておきたい事は、目利きが出来る事が大事でしょう。
魚の旬も心得ておきましょう。けれども旬はあくまで目安で、土地や年により環境が変われば教科書は当てになりません。
その土地で取れた魚をその土地で食べるのが一番美味しい食べ方です。
養殖物よりは天然物を、野締めよりは活締めのものを食べる事をお勧めいたします。
オスよりはメスが繊細で肉質も柔らかく味があります。
魚体が大きいからといって必ずしも脂が乗って美味しいわけではありません。
魚体が小さい魚で丸まる太った小魚のほうが繊細で味わいもあります。
一昔前は、白身魚は2~3日寝かせた方が味がいい。と言われていましたが、活締めを食べているとその考えは変わるでしょう。
マグロなどの大型の魚も寝かせていいものとすぐ食べて美味しいものがあるので、その見極めを心得ましょう。
活きていれば必ずしもいいというわけではありません。
何日も生簀に入ったままの魚は日に日に痩せて行っているので、食べても歯ざわりだけで味はありません。
朝の揚がりたてもよくは有りません。なぜなら海から揚げられる時魚は暴れて体力が消耗して身が弱っているのと何やら乳酸とやらの成分が体内に出るのも良くないようです。
出来れば、水揚げされた魚を刺激を与えず、暗い水槽に一日休め、体力が回復したものを活締めして、水洗いなどの下処理をして半日寝かせた状態がお刺身では理想的ではないかと思います。
魚を食べこめば食べこむほど、お刺身は食べなくなるし、マグロも食べなくなり、平目よりはカレイが美味しいと思うし、高級魚よりは鰊・ホッケ・ハタハタなどが味わいは上々で美味しくなって来ます。
そのうちその様なものより、炊き立ての白いご飯に冬場の甘い大根おろしをご飯に乗っけて醤油を少し掛けて、サラサラサラとご飯を食べるのが「美味しいな!」と思うようになったら玄人苦労人食通だと思いますね。
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{津軽海峡産天然活締めトラフグ。2.3k}

ヤフーブログ‘食の桃源郷青森’もご覧下さい
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by tk-mirai | 2011-01-14 23:16 | Comments(0)

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