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通と評論家

{夕映えに映える五所川原立ちねぷた出陣太鼓。}
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30歳を過ぎた頃からやっと分るようになった事があり、「何でこんな簡単な事にもっと早く気付かなかったんだろうな~。」と自問自答したものでした。
人が驚くほどホームランを量産出来たり、世界的有名大学を主席で卒業出来る能力があったり、生まれながらにして人を感動させる絵画を描く才があったり、誰もが聞惚れる美声の持ち主だったり、人が羨むほどの絶世の美女であったり、誰もが唸る料理を作る腕前の持ち主だったりなどなど、世の中には多彩芸才の持ち主は数あれど、どんな能力よりも一番優れた能力は、‘他人に誠実で親切な事’が、何よりすばらしい能力と思うようにやっと成れました。
世の中自分の理想通りになど成るはずも無く、理想と現実にギャップが有るから面白く、特に景気の悪いご時勢は理想の2~3割実現出来れば「上々」と思うようにするのが良いのではないかと思います。
自分と同じ価値観の人などこの世に存在せず、人付き合いは常に矛盾や葛藤の繰り返しではあれ、またそこが楽しいものであると感じます。
考え方や意見や価値観が違っていても、他人を否定する事無く、お付き合いを打ち切ることもせず、その方のいいところを探して、多少の事は脇に置いといてお話をしてみれば「案外いい人。」と言うことはいくらでもあり、悪い部分よりいい部分を見るよう勤めれば、人間関係もそれほど歪みや衝突も無く過ごせるものでしょうか?
‘重箱の隅を突っつくように・・・。’他人の粗捜しや否定的評価をする事など誰にでも出来る事で、良い部分には見向きもせず、自分の事は棚に上げて、他人を「あ~だ。こ~だ。」ご批判する方がこの頃幅を利かせているような気がいたします。
他人を否定する事より、褒める事のほうが何倍も優れた才能です。
自分も出来れば人様のことは「何かにと言うべきではない。」と常日頃から思っているので、言いたい事があれば直接本人の目の前で提案するよう勤めております。
ところが、拝見したところ至る所に批判的評論家がいらっしゃるし、直接話す機会もいただけないので、失礼ながらこの場を利用させていつも以上に失礼を頂戴したいと思います。
{今年は不作だった中里の無農薬大粒ブルーベリー。}
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自分自身外食を楽しむ一個人として、そして飲食店を経営するものとして、お客様の立場でもあり商いする側でもあり、もっともっとお客様に外食を楽しんでいただきたいし、自分自身も楽しみたい。その為少しばかりこちらをご覧の皆様にお役頂きたいお話と思います。
料理の世界で‘通と評論家’なるものがあると伺った事があります。
「ええ~、そんなもの料理に限って無いでしょう?なんかの勘違いじゃないの?」と自分は思うのですが、テレビ・雑誌を通じて随分そんな肩書きの方が活躍されているようであります。
我々料理を仕事とするものに、‘通’‘評論家’などは存在いたしません。また、料理業界外の皆様方も我々料理を商いとする者を‘通’‘評論家’などとは言わないでしょう。
つまり、料理関係者ではない素人の方々をその様な言い方をするものです。
時折、「この人は料理通だ!」「あの人は料理に関しては通人だ!」もしくはご自分から「俺は通だよ!」とおっしゃる方にお会いいたします。
勿論、料理を仕事としている訳ではない方々ばかりですが、この方々は趣味でもあるようで、随分色々なお店を食べ歩きなさっているようで、「どこどこ行って来た。」「あれ食べた。これ食べた。」とお話されたいようであります。
‘通’と言われる方々は、大変料理話も詳しく楽しく、聞き役を頂戴している分には、100のうち1つぐらいは「なるほど!そうかもしれませんね。」と言うときも有るので楽しくお話を頂いております。
‘通’と言う方々は、あくまで趣味の域で、人生の娯楽の域であって、人様に迷惑を掛ける事は少々の事ですから、料理談義を楽しむ存在として世の中には必要な方々と思います。
{ここが極楽。恐山宇曽利山湖。}
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ところが料理業界に多大な‘害’を及ぼしているのが‘評論家’なるものです。
料理を仕事としている自分からの判断で恐縮ですが、「料理に関して評論家などありえないし、存在しない。」と断言出来ます。
大変失礼いたしますが「あなた方に何が分る?」と言うところでしょうか?
他の世界、例えばスポーツ業界などでは、評論家といわれる方々は、自分自身も現役を経験していて、ご自分がプレイヤーとして、「あの時あの場面で、こうゆう事があった。」「こうゆう経験をした。」などなどやった人間だからこそ分る苦労話がある為、他人が納得する説得力があります。
ところが、料理評論家なる人はご自分でやりもしない、出来もしない他人事をネタに「あ~だ。」「こ~だ。」好き勝手に論じているだけの事であります。
料理評論家なるものは、‘自分自身は楽しては他人の苦労を食い物にしている怠け者’に過ぎません。
もしこれから料理評論家なるものが存在するのであれば、それはご自分で包丁を持ち料理を作り、ご自分でお店を経営して目の前でお客様の評価を目にし耳にし、細々とでも10年以上飲食店を経営された方なら、「料理評論家」と名乗っても差し支えないと思います。
あるお客さまがおっしゃっていたお話でで「評論家とコンサルタントは三流四流でしょう。知っているんだったら自分でやるでしょう。出来ないから評論家・コンサルタントなんでしょう?」別な方曰く、「世の中をおかしくしているのは、評論家と政治屋。好き勝手言って責任を取ってない!」東京の鮨屋の親父は「あんな奴等、大嫌いだ。あいつ等の話は頭に来る!」と・・・。
三者とも経営者だし、その苦労も身に染みているから、その意見には自分も賛同いたします。
もしも、料理評論家・料理コンサルタントの方々の言う通りに物事がうまくいくのなら、世の中に閉店するお店は無いでしょう。
所詮その方々は、まったくの素人相手に無責任に暴言を語っているだけと思われます。
{ご注文で作らせていただきました、小川原湖天然鰻重。}
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社会人として、大人として、社会的責任が発生するものとして、社会的ルールやマナー、モラルを守るのが社会人の務めと道徳だと思われます。
自分で出来もしない事をとやかく言うべきでは無いものでしょう。
そして他人を批判して、それを商売にしてしている事が不道徳極まりありません。
その辺のおば様方が巷で、「あそこのお店はいいわよ。」「ここのお店はちょっとね~。」とか身近な存在に「あ~でもない」「こ~でもない。」とおしゃべりしているのとは訳が違います。
お相撲観戦しながら「何でそこで、引いちゃうのよ!」「右に出ればいいじゃない!」とか、野球観戦している時、8回裏2対3、ワンアウトでランナー3塁の場面、バッター4番。一打逆転、ヒットで同点、最低でも犠牲フライ・もしくは一二塁間への深めのゴローでも同点の場面。結果は、内野フライ。多くの方は「あ~あ。何で外野に犠牲フライ打てないのよ!4番でしょう!」と・・・・。
プレイしている本人がそのことは一番分っているし、そうしようと努力している。けれども結果は伴わないこともしばしばある。
テレビの前やお茶の間で、評価や否定をするのはそれは楽しいし、構わないと思います。けれども、人の努力を食い物にして、雑誌やガイドを売ってお金を稼いでいることはろくでもない事でしょう。
料理雑誌・料理ガイド・ワインガイドなどなど、巷にはいい加減な情報が氾濫しています。
「よくもまあ~、好き勝手な事言えるなぁ~。」と思う事ばかりです。
ご自分で、葡萄栽培もしたこともない、ワイン作りもしたこともない、天候とも向き合ったことも無い、ワイナリー経営もしたこともない、その苦労も知りもしないで、ワインを飲み勝手に点数をつけて紙面で発表している、ワイン評論家・ワインガイド。それ自体が点数の付けようの無い行為と思います。
飲食店で料理も作った事もない、皿も洗ったことがない、油掃除もしたことが無い、接客もしたこともない、食材の価格や業者間の関係も知りもしない、飲食店経営もしたことが無い者が、好き勝手に世間に対して飲食店を論じるのは恥ずべき事でしょう。
{弘前ねぷた。女性三人衆が大太鼓を叩いております。}
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ある料理雑誌で目にした料理評論家の記事で、「フランスでは料理文化が根付いて、パリよりは地方に三ツ星レストランが多い。けれども日本の場合は、一級食材は全て東京に集まり、それを活かせる料理人も全て東京に集まり、地方では一級食材は無いしそれを活かせる料理人もいない。その為日本ではフランスのように地方に三ツ星レストランは出来ないであろう・・・。」と・・・。
「はっ!あんた地方で飯食った事あるの?」と言いたくなります。別に三ツ星何ていい加減なものはなくていいけど、日本に地方に料理文化は根付いていない?
それでは、何で北海道・東北(特に日本海側。食糧自給率が100を超え普段から美味しいものを食べている。)の地域の人たちが、東京に出掛けて「あの有名なお店に行って来た!」と自慢しても「美味しかった!」と一言も言わないのはなぜでしょう?地方から出た東京の息子・娘の住んでいるアパートに行って地方と同じように料理を作っても「なぜか東京では美味しいものは出来ない。家で作るのと味が違う。」と奥様方が口を揃えて言うのはどういう事?
「東京が食材も料理人もお店も揃ってどこよりも美味しい。」というのであれば、東京の方々がわざわざ時間をかけて地方に出向き、「魚が食べたい。寿司が食べたい。」「どこどこ地方のあれが食べたい。」などと言って出掛けるのは何ででしょうか?
近年は、「フランスで修行した。イタリアで修行した。京都で修行した。東京で修行した。」という料理人の皆さんが、東京でお店を出さず自分の生まれ育った地方に帰りお店をオープンしているのはどういう事?
東京は話題が先行して美味しいものは少ないし、高いだけで値段相応の店が少ない事をお客さんは知っているし、料理する側も商売上は東京で店をやったほうがいいけど、「地方の方が美味しいものがたくさんある。」と知っているから地方で店を開店している事でしょう。
人と同じように、食材も旅をすれば疲れてしまうものです。自分の住んだ環境から離されればその瞬間食材の味は低下するものです。
地方にはまだまだ一級食材が豊富に存在いたします。ブランド化していないすばらしい食材もあります。鮮度が命の為輸送出来ない食材もあるものです。
そして、料理人だけでなく、一般の方々も「東京は1番ではない。」と多くの地方の方は思っています。それに気付いていないのは東京の皆さんかも知れません。
{神秘の湖。白神山地青池。}
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それから、料理雑誌編集者が「今各地で、イタリアンを中心に洋食のシェフが地方で自分で畑を耕し野菜作りをし、その食材をメインにお店で料理を提供する地産池消スタイルが増えている。まことに良い事だが、日本料理の世界にその様な動きは見受けられない。日本料理業界が伝統を重んじ保守的で新しい取り組みが成されていない。とても残念な事だ。日本料理の世界にも少しでも早く自分で野菜を作り、お店で提供するスタイルが出て来て欲しいものだ・・・。」と紙面上で書き示している雑誌もありました。
「失礼ですがあなたは日本人?日本料理を作った事はありますか?」と質問したい。
何でここ20~30年米の消費量が減少傾向にあるのか?何で多くの家庭で、朝食は日本食ではなくパン食になっているのか?家庭で純粋な日本料理とイタリアンを作るのはどっちが手間がかからない?
料理雑誌を作っている方々がそんなことも分らないのが現状です。
いい仕事を心掛けている日本料理店は、営業時間より仕込み時間のほうが長いものです。
夜だけの営業であっても、朝は一般の方々よりも早い時間から厨房に立っているところもあります。
日本料理はシンプルなようでいて、とても手間がかかる料理です。そんなことも分らずにイタリアンと日本料理を比べて紙面で論じている事がおかしいものです。
イタリアンにはイタリアンの良さがあり、日本料理には日本料理の良さがそれぞれあります。
どこ国の料理が上で、どこ国の料理が下だとか、この国の料理とこの国料理はあ~で、こ~でと比べる事態が非常識な議論だと思います。
たかが一回・二回行っただけで飲食店の何が分るものでしょう。
それほど評論家・料理雑誌編集者は普段から食べ物に恵まれ、三度三度の食事をご馳走食べて舌が肥えていて、飲食業の隅から隅までいいも悪いも分っているものでしょうか?
テレビ・雑誌・ガイドなるものを拝見する限り、まともな事を書いている記事はほとんど無いとお見受けいたします。
{これは美味しい。黒石のシュガープルーン。}
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大変失礼ですが、食べるのが好きなんだか、他にやる仕事が無いのか分りませんが、料理評論家などと無責任で不道徳な活動は慎んでいただきたいものです。
多くのお客様の目安として、料理雑誌・ガイドは必要なものかもしれません。飲食業界にとっては、情報誌も一役買っている事もあります。飲食業全体に話題提供うとしていい側面もあるでしょう。けれども、健全な評論家・情報誌が非常に少ないのも事実です。
料理雑誌・ガイドよりはまだまだインターネット上で、評価や点数を付けている方々のほうがいいガイド役になっている事でしょう。かなりいい加減な発言や作り話と思えるような投稿も目にいたしますが、ご商売にしていない分いいものです。商売抜きにして意見を述べてくれるお客様の苦言や評価はありがたいもので、必要な事でもあります。実名で書き示すようになれば、下手な事も書けないし、もっと信頼度も上がると思いますが・・・・。
自分も含め、小さいながらもオーナーシェフとして飲食店を経営している多くの方は、料理が好きで飲食店が好きでこの仕事が好きで、料理を仕事としています。
日がな一日料理の事を考えたり、食べる事を考えたり、来ていただくお客様の事を考えたり、来るかどうかも分らなくてもせっせ、せっせと料理を作り、言う事を聞かないスタッフに頭を抱え人事育成して、お店の掃除を隈なくして、お店作りや接客や経営などなど飲食業について日々考えあぐねているものです。
料理が大好きで飲食業に従事している者に比べれば、人の努力を食い物にしている自称評論家・料理雑誌編集者なる中途半端なものに、飲食業のいろは等分るわけがございません。
大変失礼なお話でありましたが、多くの方々がテレビ・雑誌・ガイドブックなるものを当てにせず、ご自分の舌や価値観を信じて、他人の評価より自分好みのお店に足蹴無く通われる事が楽しい外食のコツであります。
料理に限って、飲食店に限って、他人の付ける点数などまったく当てになりません。
料理に興味があれば、知らず知らず自分に見合った飲食店は出会うものです。
皆様の楽しい外食のひと時に、ご参考にしていただけたらと思います。
自分も評論家を評論しているので、まだまだ不道徳な者でしょう。
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{今年は猛暑の昼ねぶた。}

ヤフーブログ‘食の桃源郷青森’もご覧下さい。
by tk-mirai | 2010-09-01 00:07 | Comments(0)

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