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味覚を鍛える

{津軽海峡天然わかめ・天然鮑の御椀}
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人はそれぞれ生まれ持った感性や資質があり、これは世の中と同じく、どうやっても平等とはならないものでしょう。
生まれながらにして絶世の美女であったり、世の驚くほどの知的才能があったり、芸術や運動に優れていたり、大金持ちの生まれだったりと、随分神様は不平等に世の中をお作り成ったものだと、無宗教ながら思うものです。
その中で、眼に見えるものは多くの方々が判別・評価は出来るのですが、目に見えないものはどの様にしても理解しがたいし、評価もなかなか出来ないものでしょう。
聴覚・嗅覚・味覚は他人に伝えるのは難しいものでしょう。
どうやら、味覚に関しても持って備わった感性が有るようです。
ところが、「あの人は味が分る。あの人は味にうるさい。」などといっても、誰がどう評価出来るものでしょうか?
目にする事も出来ないし、もし食べたからといって、それが他人にとって美味しいものかは分りません。
‘美味しい’という言葉は随分抽象的な言葉で、これ程誰にも迷惑をかけず巷の論議の的のなる御題もないし、評価できないものもそう有るものではありませんね。
他人の美味しい。テレビのタレントさんの美味しい。グルメガイドや雑誌の美味しい。評論家?の美味しい。広告の美味しい。などなど美味しいという表現や言葉は、常日頃から目にもし、耳にもしているものですが、なかなか本筋を伝える事は難しいでしょう。
そして、人によって‘美味しい’という感覚がまったく違うので、美味しいと言うお話は、面白いものでもあり、分らないし伝わらないのだから感覚が違う人が議論してもまったくくだらないお話でもあります。
{津軽海峡産30キロを越す天然真蛸(津軽では水蛸のメスを真蛸と言い、オスの水蛸と区別します)を魚屋さんが切り分ける}
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普段、コンビニ弁当や何が原料かも分らない安いだけが売りのハンバーガー屋さんに並んだりしている方に、水と鰹と昆布だけの出汁の美味しさや天然の白身魚の洗いの優雅さ、季節の青物のお浸しの爽やかさなどは、何が美味しいのか理解できず美味しいものではないでしょう。
大抵その様な大手食品メーカーやチェーン店・安売り加工食品のキーワードは、脂・砂糖・醤油・化学調味料・添加物を大量に合わせて焦がした味わいのものです。とても、インパクトがあり、分りやすい味でもあります。
その様な味に慣れてしまうと、天然の繊細で洗練されてしみじみと体に旨みや栄養が伝わるような美味しさは分らなくなるようですね。
大都市では多くがその様なお店や食品が大勢を占めているので、その様な食品に慣れてしまった方々も当然多く、飲食店はそのキーワードを抜くと繁盛しないといわれています。
「安くて美味しいものも有る。」とおっしゃる方も居られるようですが、高くて美味しいの‘美味しい’の前では安くて美味しいものは足元にも及ばないものだと自分は感じます。
安くて美味しいの‘美味しい’と高くて‘美味しい’の格差は歴然としているものです。
使っているものが素から違うので、高くて美味しいのは当たり前のことですが、安ければまずくてもさほど気にも留めないものでしょう。けれども、年齢を重ねるにしたがい、これから先数少ない食生活を考えたら、「安いからいい。」といって食べてみたら「損をした。」と言うことはご遠慮願いたいと考えるものです。
若い時と比べ食べれる量は減り、新陳代謝の低下と食欲の低下により油ものよりはあっさりしたものを、大味のものよりは繊細な味を、安くて量が多いだけのものよりは高くても少量多種美味しいものを。ガジャガジャうるさいお店よりもゆっくりと静かに落ち着いたお店を・・・・。と言うように感性も味覚も変わってくるものでしょう。
若い頃は料理の中身などには無頓着で、精神的欲求よりも「鱈腹食えてお腹一杯になればそれでよし!」となっているものですね。
{青森市油川・西田沢山中の山菜の王者ボンナ}
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ところが、このように‘ゆっくり落ち着いて、穏やかに少しくらい高くても美味しいものを。’と思うまでは時間とお金も掛かるし、食に興味のない方は、このような例には当てはまらないでしょう。
そして、そこまで行っても、年齢的に五体満足健康でいられる保障もありません。
「これから先も出来るだけ長く、おいしく食事を楽しみたい!」と考えるのは大人の理性であります。
若い頃は気にも留めなかったり、気が付かなかったものが今では「美味しいなぁ~。」と思う時が大人になるとあります。
それもこれも、人生の経験値や食生活の経験度、周りの環境や体質変化なども関係してくるでしょうか?
歳を重ねるほどに甘味の有る苦いものが美味しく感じれたり、脂の浮いていない汁物が心をほっとしてくれたり、飾り付けたお料理よりもシンプルな家庭的な料理が好むようになったりと、感性が洗練されていくものでしょう。
そうこうしている内に、「これは食べたいけど、これはちょっと遠慮したい。」「この料理は口にするけど、これは見てるだけでいいですよ。」などとちょっと我儘になり、あんまり我儘言っても、損をするだけだと自分を戒め、「特別好き嫌いは無いけど、出来れば美味しいものを食べたいな。」と変化してくる事でしょう。
そのうち、知らず知らずつい2~3年前まで食べれたものが、いきなり食べれなくなったり、「あれは、まあまあ食えたよな。」と言うものが「このお店って、こうだったかな?」と足が向かなく成る事もあるでしょう。
味覚が変化している事に、それと出会うまでは気付かない時があります。
何でもかんでも食べていた食生活から、少量多種のいいものをという生活に自然に移り変わり、味覚が磨かれていくようになるようです。
「何でこれを食べれなくなったかな?」と自分に疑問を投げかけても、美味しいものを口にしてしまったら、可愛そうな事に不幸の始まりとなるのですね。
その程度、あの程度の食生活で満足していれば良かったものを、一度食道楽の道に足を踏み入れると、死ぬまで逃げ道の無い‘美味しいものを食べたければ、死に物狂いで働く’の何よりも予算が掛かる追われる生活を強いられます。
歳を重ね「あれも、もういい。これも、もういい。」結局残るのが「楽しみは食べる事だけか?」と何だか寂しいような気もするものでしょうか?
それでもやはり食べる事は、楽しいし美味しい!うれしい事だと思います。飲食店に勤めなければですが・・・。
{小川原湖湖畔天然田セリと今別産無添加うに}
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余命いくばくも無い人生だ。「今以上にもっと美味しいものが食べたい!」と言う方々に、飲食業に携わってきて、自分が知らず知らず身に付けた味覚を磨くコツをご紹介いたします。
美味しいものを食べようと思ったら、ただいくらかの予算を用意して飲食店に行けばいいものと言うわけでは無いようです。
15年前までは、養殖のサーモンもハマチも、200~300円の牛丼も、100円のハンバーガーも、コンビニ弁当・スーパーのお惣菜も、缶コーヒーなどなど色々なものがまあまあ食べれたのですが、今は食べれないし、選択肢に挙がりもしなくなってしまいました。
食べれないわけではないですが、食べると具合が悪くなったり、ひとくち口にしてもなぜか進まずお腹がいっぱいになってしまいます。
もともと、化学調味料の無い家庭で育ったのもありますし、薬品に抵抗力の無い体でも有るのですが、職業柄美味しいものに触れる機会が多い事もあって、味覚が洗練されていくのが自分でも分ります。
我々料理する人間が美味しいものを口にしていなければ、お代金を頂くお客様に美味しいお料理は提供できません。そのため、常日頃から鮮度の良い美味しいものを口にしなければいけません。
健康である事も一番重要です。そして、精神的にも余裕が無ければいけません。美味しいものは予算もかかります。自分の好みを把握しておく事も大事です。それに答えてくれるお店を探すのも必要でしょう。
それから、普段から自然に触れる事も忘れてはいけません。美味しい料理は、自然の源から生まれてきます。天然の味と化学の味は、比較対象にもなりません。
毎日の生活でも味覚を磨けます。
まず、普段から美味しいものに触れましょう。
化学調味料・養殖の魚・添加物・香料の入った食品は口にしないようにしましょう。
回りまわって、自分の給料も下げるような貧困ビジネスの安いだけのチェーン店・大手の食品メーカーの商品も出来るだけお付き合いしないようにしましょう。
皆様ご存知と思いますが、美味しい食事をする為に無駄金は使わないようにしましょう。
出来れば、大量に塩素の入った銭湯や温泉は気を付けてください。
シャンプー・石鹸・お洗濯の洗剤や食器洗いの洗剤は香料の入っていない無添加のものをお勧めします。嗅覚は食事の時に70%ほどの影響がある大事な感覚です。
ガム・飴・生ニンニクは控えましょう(黒にんにくはいいようです)。コーヒーも美味しいものを食べる3時間前にはご休憩しましょう。
{陸奥湾産天然トゲクリガニ}
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口の中も健康でなければいけません。歯磨きは時間をかけましょう。
自分は、働き始めたころは一日18~20時間くらい厨房に篭っていたので、朝起きたら、歯を磨きながらトイレに入りそのままシャワーを浴びるという作業を10~12分で終わらせなければ一日が間に合いませんでした。湯船に入れるのは年に1~2度くらいでした。
そして、常に我々調理師は味見の為、口の中に物が入っている状態で、とても口の中の健康はいいとはいえません。
そんな状況で、20代前半に虫歯を作ってしまい。歯医者さんに通う事になり歯磨きの指導を受けました。
今では、自分なりの歯磨き術を身に付け、年に一度のメンテナンスの検査で歯石率だかプラーク率だかが3~6%で(20~30%が平均らしいです)、「ワックスをかけたような歯ですね。」と若い歯科助手のオネーさんに褒められ、鼻がもほもほとする生活を続けております。
歯もそうですが、歯茎・舌・口の上部下部・歯と唇の間・歯と舌の間なども15分ほどかけて磨きましょう。歯間も丁寧に清潔さを保たなければいけません。お家での食事の時は食べたらすぐ爪楊枝か糸楊枝をしておくといいでしょうか。
口の中のヌメリが味覚の妨げとなります。味覚は舌だけではありません。口の中の隅々が味を見分けいたします。
自分の体にお金を掛けるのも美味しい食生活には必要かと思います。
安いものを食べてれば安い人間にしかならないような気がいたします。
これからも美味しい食生活を送る為にも地域社会の安全と繁栄と世界の平和も祈らなければいけません。
味覚を鍛えるのは、社会のお役にも成るような気がいたします。
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{津軽半島の先端・ほろつき海岸の石像}

ヤフーブログ‘食の超大国青森’もご覧下さい。
Commented by ブックレオ at 2010-07-21 08:19 x
素晴らしい記事でした。ありがとうございます。
Commented by tk-mirai at 2010-07-21 11:57
ブックレオさん今日は。
至らぬ文をご覧頂き有難う御座いました。
by tk-mirai | 2010-05-26 14:23 | Comments(2)

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by tk-mirai
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