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水 その2

  前記事‘水 その1’からの続き。
{日本一美味しい水の看板。青森市安方}
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漫画家を目指して東京へ出た、友人の広尾のボロマンション近くにはコンビにも無いとのこと。
飲み水確保のために、駅に隣接しているコンビニで水分を買い込む事にしました。函館で1人暮らしをした経験があり、その頃も函館は水を蓄える山が無い為、水道水の不味さに閉口してペットボトルを買い込んでいたものですが、「もうペットボトルはいいや。」と思っていたもので、「どうせなら茶買って行ぐべ!」と青森では見たこともない茶を買うことにしました。
その頃流行り始めた‘うこん’のお茶をぶら下げマンションに・・・・。
早速、のどを潤すのにウコン茶を空けると、ただならぬ臭い。空けた瞬間「これは飲めないな!」と思いつつものどの渇きに耐えず飲んでみたものの、あまりの不味さに吐き出してしまいました。
「もしかして、あと飲むもの無い?」と友人に聞くと笑顔で「うん!」と答えてくれ、「もしかして、また、コンビにまで戻らないと飲むもの無い?」「近くに販売機あるけど、水・お茶は無いな!」という事で、その日一晩は水分補給無しで眠る事になりました。
「ええ~!ここは広尾。マダムの町じゃなかったの?世界でも有数の大都市で大金持ちの東京で水攻めに合うとは、恐ろしいところだな東京は・・・・。多くの地方の若者が、都会に憧れ上京し、夢破れて里帰りする理由の一つに水攻めが有るかもしれないな?」とそのときは思ったものです。
仕方なくのどの渇きに耐えながら眠ったものの、2月の乾燥時期で朝起きるとのどはカラカラでしゃがれ声になってしまい、「顔だけでも洗うか。」と流しに行って水道水で顔を洗うと、あまりの臭さと痺れる様な感覚の水に‘はばげて’しまい(津軽弁で咳き込んで苦しむ事)、顔がヒリヒリして「ちょ~。これ何?」と友人に言うと、「だがら日本酒一気飲みより辛いって言ったべ~。」と「お湯は出ないの?沸かすとか?」と聞くと「湯沸かし器は壊れてるし、電気コンロは付きが悪いよ!」と言うこと。「どうやって風呂入ってんの?」「我慢して水浴びでる。」「今2月でしょ?」「うん!んだね。(そうだね)」と笑顔の友人。週に一回は近くの銭湯に行っているとのことで、そこに行く事に。
落語や古典ドラマに出てきそうな古びた銭湯に入ると、「やった~。」と感激し、そこには富士山の絵が書かれておりました。「一回でもいいから、風呂場の壁画に富士山が書いてる銭湯に入りたがったんだ。」とその雰囲気に憧れていた為、湯を浴びようとお湯を捻るとその塩素臭さに、手が止まり、「我慢するかと!」と浴びて、湯船に入ると、先ほどの感激は悲劇のようにぴりぴり皮膚を刺激する塩素風呂からすぐ上がり、「わ~は(自分は)、東京では生きていけないな~。」と思ったものでした。
{豊富な水と豊かな土壌の十和田市内の農作地。}
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野菜を洗う。魚を洗う。出汁を引く。野菜を湯がく。米を研ぐ。などなど料理に水は不可欠です。
「出汁はどこどこの名水を輸送して取り寄せて引いている。」「何とかというブランドのペットボトルの水を利用している。」などというお話はよく耳にするのですが、野菜や魚。湯でたり米を研ぐなどまで肩書きの多い名水の利用はなかなか難しいでしょう。
浄水器という道具も多くは活用されていても、水そのもの素材そのものが良くなければ美味しいと言うレベルまでは成らないものです。
お世話になっている仙台のお客様で「家で米炊く時は、研ぐのもエビアンで、炊くのもエビアンですよ。」という方もいらっしゃいます。その様な心意気は聞いていてうれしいものです。なぜなら米を研ぐ時一番重要なのは、最初の水を米が一番吸収するからです。お米は最初に浴びせる水で味が決まるのですね。
ミシュランなる本が出る前から、お客様のご要望で東京の超有名鮨店などでお鮨を食べにご一緒いたしました。
美味しいお鮨を食べるひとつの要素としてご理解いただきたいのが、そのお店にショーケースが有るか無いかです。有ったとしてもショーケースの中で食材がしっかりラップや容器に入っているかどうかです。
見た目には、カウンターにショーケースがあり、その中に食材が所狭しと並んでいるのは見栄えはいいでしょう。けれども、ショーケースの冷気が直接食材に当ると乾燥もし、香りも飛ばし、味わいもなくなります。
多くの方は気付かないのですが、味覚で重要な地位を占めるのがその食材の香りです。
風邪を引いている時、鼻をつまんで食べた時、味は7割~8割程も激減します。見た目はあまり変わらないのに味はまったく違うものになってしまいます。
我々飲食業界の者でもこの事について無頓着な調理師が沢山います。
外食をして、出てきた料理が冷蔵庫の臭いがするという経験を多くの方がしていると思います。それは、調理したものにラップも密閉もしないでそのまま冷蔵庫に入れておくため臭いが付きます。中途半端なラップの仕方もいけません。よく、隙間が出来てしまうラップの仕方を見かけます。その隙間から味も香りも逃げていくという事を憶えておかなければいけません。
{豊かな水を利用した弥生時代の水田跡。田んぼアートで有名な田舎館村}
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その為、自分が東京でお寿司を食べる機会が有るときは、ショーケースの無いお店となります。
大抵は、木箱に入っていたり、カウンターに埋め込み式の冷気の出ないネタ箱が設えてあります。
その綺麗にネタが並べられた木箱を見ているだけで、多くの方々は食欲をそそられる事でしょう。
自分は築地にも行って、どの様な食材が揃っているのかなども見学はしているのですが、毎回東京でお鮨を食べるたびに、「技術力もそれなりに有り、いくら魚が旅して疲れてはいてもそこそこの鮮度のネタなのに、何で味も香りも無いのだろう?」といつも感じて食べておりました。「これなら、青森のショーケースの有る寿司屋さんのほうが旨いし、半分の値段で食べれるなぁ~。」と感じていたものでした。
平目には平目の香りがあり、鯵には鯵の香りがあります。大根には大根の香り。食材はそれぞれ何でもその食材独特の香りがあります。その香りが味を大きく左右します。
その為なのか、東京のお寿司屋さんは、どちらかというと調味料の勝った味が多いようです。そうなると、日本酒よりはワインが合うようで、大きなワイングラスに赤ワイン片手にお寿司を食べている方を東京ではちょくちょく見かけます。日本酒よりもワインが充実しているお鮨屋さんが有るものです。それも一つの楽しみ方では有るのですが・・・。
原因は水と思われます。食材を漂白してしまっているのですね。塩素のたっぷり入った水で洗うと、味も香りも抜けてしまいます。
東南アジアや中国から輸入されてくる食品などは、塩素付けです。でなければ衛生上出荷できません。
冷凍の殻を剥かれた海老などは、3回以上の塩素の水で洗われているそうです。当たり前海老の味はいたしません。その為味が抜けた分、‘アミノ酸等’というものを食品会社は多用いたします。
{十和田黒毛和牛と藤崎町産インカの目覚めジャガイモで牛鍋}
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水の恵まれた土地で生活しているということは、大きな財産でありますね。
水に執着が有るのか、自分は色々な土地にお邪魔すると、水を飲むようにいたします。
今まで、「あれ!この水美味しいな!」と感じたのは、九州の福岡、田川郡香春町というところにお邪魔した時、筍やゆず胡椒を送っていただいているお寺で住職さんと飲み食いしたあと、「酔い覚ましに・・・。」と奥様が用意してくれた水を飲むと、ふわ~と水の甘い香りがし口当たりがふくよかでのど越しがよく後味が甘い軟水のお水でした。「どこのお水ですか?」と訊ねると、「家のお水ですよ。井戸水です。」と・・・・。
人口数千人の香春町はのどかな田園風景で、小高い山々に囲まれ、蛍のために農薬を使用しないで農産物を作っているとの事。
田川郡香春町という地名も美しい響きで、その通りの風景です。
その水を飲んだ時、「これなら、昆布出汁はよく出るし、お豆さんも柔らかく炊けるな~。」と思ったものでした。
それから驚いたのが、東京で一緒に遊んでくれる、有名な寿司屋の大将が初対面の時、たまたま築地で有る寿司屋の親父に紹介されて、築地の寿司屋で一緒に飲んでいると、「俺のマンションへ来い。」と連れて行かれ、「弟子も入れたこと無いぞ。」と森伊蔵・村尾・魔王を出してくれ、「日本酒がいいか。」と亀の翁とフランスのロウに包まれたのカラスミをご馳走してくれ、「ちょっと来い。」と流しに連れて行かれました。
水道の蛇口が2つあり、「このマンションは今東京で一番最新のマンションだ。生ゴミはシンクのゴミために入れるとスクリューカッターで粉々にして流してくれる。生ゴミが出ない仕組みだ。蛇口は2つある。片方が洗浄用で、こっちが飲み水用だ。」といい、コップにその蛇口の水を注いでくれ自分に「飲んでみろ。」と手渡ししてくれた。「ええ~。飲むの?」と内心思いつつも「ま、いっか。」と飲んでみると、「あれ、以外に飲める。美味しいと言うほどでも無いけど、普通に飲めるじゃん。」と思ったものでした。
このお話も今から3~4年前のお話ですが、東京も水は綺麗になってきて、東京湾にも魚が戻りつつあると今は言います。
22~23の頃広尾で水攻めにあってから、暫く東京の水とはご無沙汰していたものですが、今は一昔前ほど水も悪くないようです。
水の大切さは普段はあまり感じないものです。
青森には他にない質と量のお水が沢山あります。
転勤族の方が、「青森の水の美味しさに感動して最初飲みすぎてお腹下しました。」という方もいらっしゃいます。その方は京都の方で、軟水で育った為、いくら美味しくても青森の適度な硬水の水は慣れないうちは、水当りいたします。
土地変われば、水変わります。
青森の飲食店は恵まれた水でお料理をしております。
水を豊富に使える和食もイタリアンもフレンチもお蕎麦、ラーメン、中華兼ラーメン屋さんなどなど色々美味しいです。
青森市の方も県外の方々も、もっともっと水を楽しんでいただけたらと思います。
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{もう少しで豪快な桜が咲き乱れます。浪岡城址}

ヤフーブログ‘食の超大国青森’もご覧下さい。
by tk-mirai | 2010-04-06 22:46 | Comments(0)

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