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水 その1

  ‘男の隠れ家’ 5月号に当店が、ほんの少しだけ、
  掲載していただきました。ご興味のある方は
  ご購読してみてください。テーマは大人の学校という事です。

{日本一美味しい水のモニュメント。青森市安方}
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フレンチにワイン。中華に油。イタリアンに小麦。日本料理に水。
と言われるくらい、その各国料理には欠かせない重要な食材を謳ったものです。
我々日本人は、世界規模で見れば大変水に恵まれ、水の恩恵を受け、水に親しんできた民族でしょう。
これ程水に恵まれた国は、なかなかな他国ではないものでしょう。
ところが、身近にあり、いつ何時でも自由に使える環境にあればあるほど、有難味が薄らいできてしまうものも人間の性でしょうか?
水や空気、大地や海や緑、兄弟や家族。黙っていても手の届く存在ほど、無頓着になるもので、たまにそれを気に掛けず、痛い目に会うこともしばしばあることでしょう。
ある本によれば、世界で飲み水として、可能な資源は数パーセント。ほとんど多くは海水で、直接人間が飲む事は出来ません。
技術開発により、海水を飲み水に変えたり、汚水を飲み水に変えたりと、色々化学が進み水不足を解消してきてはいるものの、まだまだお水は足りないようです。
そんな技術を要しなくても、日本は随分水資源は豊かな国です。その為に、水を軽視しすぎる事も多々あることでしょう。
水が無ければ人は死んでしまいますが、あまりその様な事を考えている方も、日本は少ない事でしょう。
今は少しずつ経済の縮図も世界的に変動してきてはいても、先進国と言われる国は世界の2割。途上国は8割。お金も水も、先進国が8割を利用し、8割の途上国が2割の水とお金を分け合っていると言うのが現状のようです。
日本の雪国の日本海側は、まったく水不足などに悩まされる事なく、ほとんどの地域で、気兼ねせず蛇口をひねっただけで、美味しい水が飲める事でしょう。
夏場になると、西日本や大都市で、取水制限・水不足と騒いでいる時も、水はがばがば飲めるし、お風呂もたっぷり湯船の天辺までお湯を入れ、シャワーは出しっぱなし、皿洗いも歯磨きも水は出しっぱなしと言う事が日常生活で行われています。
このところのエコロジーで、歯磨きの水出しっぱなしは見かけなくなりましたが、雪国の水の豊富さと質は世界トップクラスでしょう。
{豊かな水を蓄えへ何十年にも渡りろ過する八甲田のブナの原生林}
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テレビなんかで砂漠地帯の生活などを拝見していると、「この人たちは水はどうしているのだろう?」と疑問に思う事があるものです。
オアシスがあり、灌漑設備が整っているところはいいのですが、アフリカのサバンナ・砂漠地帯に暮らす人々にとっては、水に対する執着心は、日本人の比ではないでしょう。
昔、‘コイサンマン’という映画を見ていたら、炎天下のサバンナ地帯で脱水症状を起こしたアメリカ人を、土に埋め、何かしらの根菜類を掘り起こし、洗濯板のようなものでそれを摩り下ろし、その水分を飲ませていたのが、とても印象に残っています。それから、‘すばらしい世界旅行’とかいう番組で、アフリカの女性が、農作業の合間に、大きな牛のお尻から出てくる尿で頭を洗っていた姿に、文化の違いを感じ取る事が出来ました。
砂漠地帯のてんとう虫のような昆虫は、寒暖差を利用して、朝日の昇る時間に合わせて、冷えた体を風上にあて、そのほんの少しだけ湿気を帯びた風と日光の熱で自分の体に水を作り(冷えたビールを熱いところへ出すと瓶の外側に水が出る原理)、それを飲んでいる知恵に驚いたりもしました。
その様な地域に暮らす人々は、池や沼があっても、マラリヤなどの伝染病の菌がいるので近づかず、真水が無くともその様な生きる知恵を世代を超えて培ってきたものでしょう。
{清き水あるところに天然クレソンあり。青森市内を流れる川から}
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‘日本料理に水’と謳われるくらい、日本では人類には贅沢で豊かな食文化があります。
それは茄子一つとっても、調理法の違いが鮮明に表れます。
水を豊かに利用できる日本料理は、茄子の灰汁抜きに、水を利用します。
「秋茄子は嫁に食わすな!」と諺があるほど、子供を産まなければいけない大切な嫁の体には、茄子の灰汁は体を冷やし、灰汁は害となります。嫁を敬った名句とも言われるこの諺からも、日本料理では茄子は切ったらすぐ水に落とし、灰汁止めの下処理をしてから調理にかかります。
西洋料理では、切った茄子の灰汁抜きは、塩を振ります。それでも多くは、西洋では、灰汁も味のうちといって、あまり灰汁抜きなどはしないで調理をいたします。その為濁った味になりやすく、スパイスやソースの力が必要となります。
中華では、茄子の灰汁抜きに大量の油を利用します。代表的な料理に麻婆茄子が挙げられるでしょう。刻んだ茄子は、加熱した油へ入れ、短時間で充分なかに火が入ってから、油きりをして灰汁抜きをします。それからソースや餡などに絡めて調理をいたします。
どの調理法もとても理にかなったあくの抜き方でしょう。それぞれ、環境や条件が、先人の知恵を集め、どの様にしたら一番美味しく食せるかを模索しながら今の世界中の料理が作られてきた事でしょう。
{この時期一番美味しいヒガン河豚}
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日本ではそこに水があった。それが一番食材を美味しくさせ、‘水が料理を作った。’といってもいいでしょう。
野菜を洗う。魚を洗う。灰汁を取る。出汁を摂る。蒸したり煮たり湯がいたり、日本人には切っても切っても切れない水の文化。水が無くなれば日本料理は消滅するでしょう。
美味しい日本料理には水が不可欠です。逆を言えば、美味しい水が豊富に使える環境が無ければ、美味しい日本料理は作れません。
普段の日常生活から、質・量ともに水に恵まれていなければ、美味しい日本料理は味わう事が出来ないものでしょう。
20代の何年間か、関東や関西に勉強がてらに料亭・割烹・和食屋さんに、青森から食べに出歩きました。テレビや料理業界紙や本などに洗脳されて、「日本料理は関東・関西」と思い込んできましたが、舌がそうは言いませんでした。頭や眼、講釈はそう言っても、舌は断じて「YES」とは言いませんでした。それなりに業界では評価は高く、有名店にお邪魔して食べてはみても、疑問しか残りませんでした。調理業界で働いて、毎日のように仕事として、お店で関東・関西料理風の料理を作っていても「見た目や技術はすごいけど、これって美味しいの?」という疑問が常に自分にはあったものでした。
そして、いつしか「水かな?」と思うようになりました。
青森で、水道水をがばがば飲み、がばがば体に浴びて、それが普通と思ってきたのが、「どうやら他では違うらしい?」と22~23の頃思い。東京へ出た友達が、「東京で水(水道水)飲むのだっきゃ、日本酒一気飲みするより辛いじゃ!」と話していて、その友達の広尾のマンションとは名前ばかりのボロアパートに泊まる事になり、「おめだば、水飲めねーはんで、何が買ってぐべ。(あなただと水は飲めないだろうから、何か買って行こう)」と、ペットボトル飲料を買う事に・・・・・・。
                             次の記事に続きます。

ヤフーブログ‘食の超大国青森’もご覧下さい。
by tk-mirai | 2010-03-30 15:03 | Comments(0)

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