打率

{西海岸深浦の毛蟹。カニ類で一番美味しいトゲクリガ二の前に旬を迎えます}
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自分で好きで始めた料理の世界。
「まだまだうんちくを語るほどの者でもない。」と思ってはいても、お皿の上だけでは理解してもらえず、説明や自己主張をしなければ、ご飯が食えない事がそれなりにあり、講釈が必要なもので御座います。
「料理を仕事として飯を食っていこう。」と知らず知らず厨房で閉じこもりきりの職人から、経営者兼調理師、所謂オーナーシェフになり、何とか今のところはご飯を食べさせていただいております。
正直なところ、料理作りを仕事としたいと始めたのであって、飲食店経営などとはしたいと思ってした訳では無く、気が付いてみたら、「成っていた。」というところでしょうか。
代わってくれる人がいたら、いつでもやっていただきたいものなのですが、そうもいかないものでしょう。
料理作りにばかり着目していたのが、お客様と多く触れれば触れるほど、料理よりも大事なものがたくさんある事を多くのお客様から教えていただきました。
もう20年も前に、料理人は厨房で閉じこもりきりの仕事をする時代は終わっている事でしょう。
外は雨が降っているのか、晴れているのか、お客様はどんな方々が来て、何がお好みで、お出ししたお料理の感想はいかがだったのか?などなど、20年前までのお職人さんは、お客様に会う事もなかったし、そんな事を考える事もまったく無かったものでしょう。
今でもその様な傾向はあるにはありますが、これからの職人さんは一日も早く厨房から抜け出して、少しでも多くの時間を社会と触れ合う努力をしなければならないものでしょう。
飲食店関係者、板前さんやコックさん、特に個人店で働かれている職人さんは仕事柄朝から夜中までまな板の前から離れる事が出来ません。
まじめに料理を作れば作るほど、調理場に立ちっぱなしです。
けれどもこれはいい事ばかりではありません。
飲食店を10数件働いてきて、「飲食店は、美味しいだけではお客様は来ない。」ということが知らずに身に染みました。
そのほかに大事な事が沢山あるものですね。
{津軽海峡の墨イか。先っぽに針があるのが特徴です。}
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最初の頃、自分は修行先で、「調理師である前に掃除師であれ!」「調理師である前に社会人であれ!」ということを教えていただきました。
料理を作る前に、整理整頓・掃除が出来なければ美味しい料理は作れない。料理を作る前に社会人としてモラルとマナー道徳を身に付けれければ、お客様は「美味しい!」と言って頂けない。ということを学ぶ機会に恵まれました。
お金では買う事の出来ない貴重な財産を若い時から経験出来、親方々お客様方に感謝をしております。
最初は、料理に執着するのは仕方が無いでしょう。基本をしっかりと身に付けることも大切です。
けれども、それはあくまでお皿の中だけのお話で、本当に学ぶべきものは、お皿の外、厨房の外にあると思います。
我々職人よりもお客様方のほうが、数倍他のお店のことも、社会の事も解っているものです。
ですから、お客様方に喜んでいただくよう、料理人は少しでも早く厨房から飛び出し、社会と接してお客さまが納得する仕事を他のお店はもちろん他業種などなどから学ぶべきでしょう。
若い時から今の今も、他の飲食店を食べ歩いたり、お客様のお話や他業種のお話を聞く事を心掛けてきましたが、我々提供する飲食店側が、しっかりと自分の働くお店を第3者的に分析し、何が足りないのか、何が売りなのか、お客様は何を望んでいるのか、何が不満なのか?などなどを理解しなければいけないものでしょう。
残念な事に、自分は自分のお店にお客として利用する事は出来ません。ですから、自分のお店を第3者として評価する事は難しいでしょう。
お客様を迎えるにあたって大事な事は、お客様にとってこのお店で楽しいひと時を過ごしていただく為に何が必要か?ということが大切な事でしょう。
ですから、自分自身がお客になって感じ取る事が必要です。そのためには自分自身がお客としてどの程度なのかも把握しておくのも大事な事です。
一流のお客様をお相手するには自分自身が一流に、もしも自分自身が三流ならば三流のお客様しかお相手出来ないものでしょう。
自分は客としてどの程度なのか?自分はお店側にどんな対応をされるのか?を知るために、機会がある事に、飲食店を訪れます。
{陸奥湾のコノコ。ナマコの卵巣で干したものは干し子と言います。}
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飲食店で働く自分が言うのもなんですが、第3者的に「可愛そうです。大変ですね。」と素直に飲食店を思います。
労働環境は悪いです。長時間労働の割りに低賃金です。社会保障もずっと遅れています。腐る物を扱っていますのでロスもかなり出ます。原価が掛かって手元にあまり残りません。なのに多くのお客様は保険の3000円も床屋の3000円もスナックの3000円も料理屋の3000円も同じく換算します。時には泥酔した方もお相手しなければなりません。クレームの数は一番多いでしょう。雑誌やインターネットでありもしない事を色々書かれ評価の対象となります。毎回同じ味ではお客様は納得しません。などなど色々でしょう。
そして多くは、料理の評価なのですが、決して、提供している方と食べ手の方の評価はなかなか一致しないものです。
料理人が「これ美味しい!」と思ってお出ししても、お客様は首をかしげる事もあるし、逆に「んん~、ちょっと失敗。時間ないから出すしかない。」と半信半疑でお出ししても「これは上手いよ!今までで一番旨い!」というときもあります。
体調が悪い時も機嫌が悪いときもあるので、しょっぱい時もあれば、甘いときもあるでしょう。
天然物ばかり使えば、料理ではどうしても調整できない食材の味加減もありますし、まったく同じように作っても同じ味にはなりません。化学調味料を入れれば同じくなりますが、それじゃ台無しです。
料理は美味しくても、皿が汚ければ美味しくないし、サービスが悪ければ、お料理の話にもなりません。
一品料理でもコース料理でも、お出しした10品のうち5品は美味しくても、2品が普通で3品が好みでなければ、「あの店は美味しくない。」と言われます。
10品お出しして、10品全部美味しいとはなかなか言っていただけるものではありません。
「あれとあれは美味しかったけど、何品目はちょっとね・・・。」ということが多いものでしょう。
多くは、いい所よりも悪いところを見がちです。評価対象はいいところより悪い部分に人の目は行きがちです。
飲食店は10人中6~7人のお客さまが美味しいといえば成り立つと言われます。
けれども作っている側は、10人中10人に美味しいと言っていただきたいものです。
それでも、10品中6~7品美味しければいい訳ではありません。6~7割バッターではお客様は評価しないのです。最低、10回中ホームラン5本に2本長打に2本クリーンヒットに1本は犠打でなければ、「あそこは美味しいよ!」とは言われないのです。
それだけでなく、サービスや雰囲気や清潔感や食器類などそのほか色々な要素が、美味しい、美味しくないの評価対象になります。
飲食店を正当化したわけではありませんが、自分は飲食店側でもあり、お客側でもあるので、両方見合わせれば、やはり「可愛そう。大変ですね。」と、思います。
ちなみに、ピッチャーも7人抑えても、3人に打たれればヤジが飛びますね。
けれども、色々と巷の話題を飲食店は担っているので、いい悪いに関係なく、話のネタにしていただくだけでもいいものでしょう。
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{今がピークの子持ちのヤリイカ。煮含めてから焼いて召し上がっていただきます。}

ヤフーブログ‘食の超大国’青森もご覧下さい。
Commented by 秀人 at 2010-02-24 23:20 x
本当にそう思います。お客様に愛情がある店は外にいても店内からやる気を感じます。中に入れば本気で店の将来と向き合っている店主がいます。おいしい料理とは食材や生まれ育った故郷、お客様、従業員、まだまだほかにもありますが、感謝の気持ちと愛情の表れだと信じています。先日板柳のむらかみと言う蕎麦屋に行きました。感動しました。あまりにレベルの高いてんぷらがでてきたのでいろいろ天粉の材料など聞いていると、揚げているのは近くの主婦のパートさんだと聞きました。家族に毎日料理を愛情をもって作っているのが目に浮かぶようでした。そして昔料理を妥協してお客様に出してしまった事を本当に恥ました。機会があったら是非!
Commented by tk-mirai at 2010-03-01 19:37
秀人さん今日は。
むらかみさんは窓側の景色がいいですね。晴れた日に岩木山を眺めながら食べるお蕎麦は美味しいですね。
自分で蕎麦を打つようになってから手打ち蕎麦屋さんには行かなくなりました。今は、どちらかというと、かけそば専門で駅に隣接している立ち食い蕎麦屋さんなどがいいです。
神田の‘まつや’さんのゴマそばや‘神田藪’さんの緑色の蕎麦、銀座‘田中屋’さんなども食べに昔はお邪魔しましたが今はお蕎麦は青森でも充分です。
青森のお蕎麦屋さんの中で天ぷらがお上手なのは‘会心’さんでしょうか。蕎麦だけならイトーヨーカドー裏の‘しもばしら’さんの田舎そばですかね。汁は泉川小学校近くの‘扇屋’さんがいいでしょう。そのほか青森市内では、‘無垢’さん、‘鞍馬’さん、‘ゆずりは’さん、が手打ち蕎麦屋さんではいいのではないでしょうか。
天ぷらに関しては、赤坂氷川神社近くの‘楽亭’さんがいいでしょう。40年近くお店をしています。70半ばの店主さんが静かに黙々と天ぷらを提供してくれます。静かな感動をいただけます。あとは、日本橋の‘林’さん、銀座の‘近藤’さん、‘みかわ’さんも機会があったら訪れてみてください。
Commented by 秀人 at 2010-03-09 11:20 x
やっぱり勉強した件数が違いますね!訳あって早めに東京に帰ってきてしまいました・・・物件めぐりです^^また遊びに行きます!!
by tk-mirai | 2010-02-24 17:55 | Comments(3)

未来のオーナーのブログ


by tk-mirai
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