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ほんの少し

  営業のご案内
9月の連休20(日)、21(月)、22(火)は営業させていただきます。
宜しくお願い致します。

{白みがかったレモンイエローの卵黄の卵。}
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飲食業を商いとしていると、「これでパーフェクト!」と言う料理も仕事も無いものです。
毎日毎日何種類もの食材を相手に、何種類もの料理を作るものですが、まったく同じものは作ることは出来ません。料理の研究は生涯続きます。
なんでもそうだと思いますが、職業でやっている人と、趣味やたまに何かに取り掛かる人との物作りや仕事の差は何かと言うと、プロは毎日毎日コンスタントに安定した仕事が出来る事。素人はたまたまにホームランが出ても、大部分はプロには適わないということだと思います。
やっと、たまにホームランを打つ選手より、毎日毎日一本ずつヒットを重ねる選手のほうが評価される時代に成りました。
物作りをする多くの研究者や職人は、常に毎日「今日は昨日よりいいものを作ってみせる。」「今日よりは明日、明日よりは明後日、一歩でも半歩でも前進するんだ。」と、お仕事をしているものです。
物がどんどん溢れ、物の有難味も薄れ、現代っ子は消費意欲は衰え、物に対して無関心になってしまったかのようで、プロなのか素人なのか区別が曖昧になっている人々が多いように見受けられます。農業従事者が多かった昔は、職人さんと言うより、各家庭で物作りをする方々が多く、自分自身が物作りする人として、質についても吟味が出来たものしょう。、今より物作りにうるさかったようです。
職人さんが作ったものも、工場で大量生産されたものもまったく同じ価値観で判断してしまい、「安いほうでいいよ!」と、金勘定だけで物を見る風潮が溢れていると思われます。
百円ショップで売られているお皿と、無名でありながら一人でこつこつと探究心を持って器を作り続けている陶芸家のお皿と何が違うのでしょう?
小規模ながら何代にも渡って、老舗として商いをしている羊羹屋とスーパーのお菓子売り場に並んでいる羊羹と何が違うのでしょう?
全国どこにでもロープライスで展開している服屋さんと、ちょっとお高いブランドの服屋さんの商品とどこが違うのでしょう?
完全予約制で、一人きりで切り盛りしている床屋さんと、流れ作業で格安で散髪してくれる理容店と何が違うのでしょう?
{青森県は常盤の卵。自家飼料にこだわり、輸入に頼らず餌米を栽培して与えている‘玄米卵’。1玉100円以上します。}
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十数年、数は何度作ったかわかりませんが、随分何本も卵焼きを焼いてきました。
仕事として、初めて料亭で訳も分らず、親方さんや先輩の言う通り、「卵は何個で調味料の分量はあ~でこ~で・・・・。」と、教わったまま何も考えず、ただ卵を巻いていました。
最初は、ただただ、綺麗に巻くことばかりに気を取られ、味がどうの、巻き方がどうのより、綺麗に巻くことばかりを意識していたものです。
経験を重ねるうち、十本目の卵焼きと、百本目の卵焼きの違い。百本目と千本目の卵焼きの違いが分るようになります。
何が一番違うのかといえば、質が違うということでしょう。
卵焼きという料理は、いつ出来たのかは分りません。江戸時代の卵焼きと現代の卵焼きの違いは何でしょう?料理人が作る卵焼きと家庭で作られる卵焼きとの違いは?
百本目くらいまでは、ただ焼いているだけです。けれども、それを過ぎると、「たまに、調味料を変えてみようか。」「卵を変えてみようか。」などと考え始めるものです。そこから、「火加減は、どうなんだろう?」「強火で焼いたものと、弱火で焼いたものの違いは何かな?」「焼きやすいのは、弱火で卵に対して調味料が少ないほうが巻きやすいけど、その逆はどうだろう?」「関東風に砂糖を効かせた卵焼きと、関西風に砂糖は使わず、出汁を多く入れた卵焼きはどっちが好みだろう?」と研究していくものでしょう。
飲食業を生業として、美味しい卵焼きを作り続けることは、分解構築、分解構築、分解構築の繰り返しです。
卵の質は?それに加える調味料は?出汁は?焼く油は?焼く道具は?火力は?それぞれの組み合わせは?誰が食べるのか?どのように食べさせるのか?などなど・・・・・。
一般的に見れば、卵焼きは、誰が見たって卵焼きです。見た目に大差は無いものです。
けれども、見た目は一緒でも、食べてみれば、違いがあるものです。
「そんなの大差ないでしょう。ちょっとでしょ。違ってもほんの少しでしょ・・・。」と、おっしゃる方も大勢おられると思います。
世間一般の方々がおっしゃる「ほんの少し・・・。」を前進させる為に、研究者や職人は毎日毎日コツコツと人知れず精進しているものでしょう。ほんの少し、よい製品を作る為に切磋琢磨していることでしょう。
{焼くと白い卵焼き。飼料が玄米やお米の為、かき混ぜると白いです。}
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銀座のお煎餅屋さんから教えていただいたお話ですが、「何代も続く老舗の和菓子屋さんの社長曰く、‘伝統とは革新の連続です。’と言ってましたよ。」と・・・・。
まったく同じ商品を作り続けていては、商売は成り立たないものと感じます。
卵焼き一つとっても、進化させていかなければなりません。
卵焼きの完成品は、見た目には、どんな卵が、調味料が、調理器具が、作り手が、かは、分らないかもしれませんね。食べてみたら、講釈述べるほどでもないのかも知れません。
商売的に考えれば、「そんなもん分るわけないよ。質に無頓着な多数相手にしたほうがいいでしょ。」とおっしゃる方もおりますね。
職人の自己満足がなにぶん大勢を占めているものですが、料理作りに関して言える事は、何よりも質の追求に他なりません。
食材の質。調味料の質。道具の質。技術や知識の質。それより重要な哲学と道徳心の質。
ただの探究心や追求心。ただのオタク・マニアなのかも知れませんが、ほんの少しの積み重ねが積もり積もって、今を越えられる事のように思います。
     
        ~卵のうんちく~
青森県の卵は全国的にも、優秀らしく、関東近郊の方々の
4人に1人は、青森県産の卵を召し上がっているそうです。
卵は、若鶏のほうが美味しいので、サイズはS・Mをお勧めいたします。
餌によって、卵黄の色は調整出来るので、見た目で判断しない。
何よりも鮮度が大事です。数週間は生食出来るそうですが、
卵の美味しく食べる目安の賞味期限を2週間に決めたのも
青森県の養鶏業界が、全国に先駆けて最初に発信したものだそうです。

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{もう少しで始まる、紅葉の季節。黒石市の黒森山・浄仙寺}

ヤフーブログ‘食の超大国青森’もご覧下さい。
by tk-mirai | 2009-09-15 17:49 | Comments(0)

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