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魚を美味しく食べる

{青森ではこれからがトラフグの美味しい季節。深浦産天然活締め3.2キロ}
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秋真っ盛りの秋刀魚より、「腐っても鯛」と、鯛を有難がって召し上がるのは、とてもとても、お勧め出来るものではありませんね。
鮮度のいい出盛りの秋刀魚は、雪国では、お刺身よし、焼いてよし、煮てよいし、揚げてよしと、どのような食べ方も実に食欲をそそり、庶民から富裕層の食卓まで幅広く、日本の旬を彩る美味しい美味しい食材の一つでありましょう。
自分の好きな秋刀魚の食べ方と言ったら、やはり王道の塩焼きでありましょう。
もちろんお刺身も美味しいのですが、職業柄生ものは、食べ飽きているので、焼いたものの方が好みであります。
まだ鱗がついていて、尻尾が太く背中が盛り上がっていて、ビカっと光って、身が死後硬直状態。手に持ってみると、ビーンとまっすぐ伸びて曲がらないような状態の秋刀魚を水洗いして、薄塩して、輝く錆色になるまで皮目を焼いたものに、卸したての大根卸しをたっぷり載せて、ポン酢をかけて食べる時間は、我を忘れさせてくれます。
そのふっくらと甘く焼けた身と、香ばしく焼けた皮。ほろ苦い内臓、青臭さを消してくれる大根とポン酢のハーモニー・・・・。朝は白いご飯に、昼は温かいお蕎麦やうどんに、夜は晩酌のお供にと、走・攻・守三拍子揃って、オールラウンドに、三度の食事を楽しませてくれます。
{小泊産水草カレイ。一塩干しにしていただきます。}
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誰が決めたか分らない、「鯛は魚の王者だ」とか、「秋刀魚は鯛より劣る」「鯛は高くて、秋刀魚は安い」などと、人種差別のような偏見や価値観、固定観念は、食道楽の世界では、まったく関係ないことであります。
秋刀魚も鯛もそのほかの魚も、旬と魚を見る目さえ間違わなければ、どれもこれも実に美味しく、同等に美味しいものです。
食べ物を美味しく食べるコツは、他人の話やマスコミなどの話題に振り回されないこと。
値段やブランドに左右される事なく、自分の舌で判断する事でしょう。
お魚さんたちを美味しく食べる方法は、その魚の旬と、水揚げされた状態がどのような状態で置かれているかを把握する事ですね。
刺し網やら延縄やら、一本釣り、巻き網などなどの漁法については、専門的になるので省略しますが、極端な言い方をすれば、ほとんど無理に近いのですが、魚の大きさに関係なく、静かにそっと、網で傷つかないように掬い上げて、素早く血抜きをする事ですね。
魚を一番美味しく食べる方法を知っているのは、やはり普段から魚を毎日のように食べている、沿岸部に住んでいる方々でしょう。雪のおおく積もる日本海側から北海道にかけての地域の方々が、魚を食べ慣れていることでしょう。特に狭い地域に、四つの異なる特性の海から魚が集まる青森市民は、魚を知っていますね。
そして、魚が美味しいのは暖かい海よりは寒い海。南国の海は見た目は透き通ったきれいな水色ですが、プランクトンなどが少なく、海そのものの栄養価は北よりも少ないものです。雪国の荒くれる海は、見た目は深い群青色で綺麗には見えませんが、つまりプランクトンなどの微生物が実に多く、栄養たっぷりのため透明度が無いのです。そのため、魚の餌が豊富で、寒さのため身が締まって脂がのって美味しいものです。
{深浦沖天然サザエ。お刺身や壷焼きに}
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魚を毎日のように取り扱っている魚屋さんが、魚に詳しいと思っていたらそれは別で、あくまで商品で魚屋さんは、売り物は口にすることはありません。
エベレストに登らない人が、エベレストを語っても信憑性が無いのと同じく、魚も実際卸して、食べてみなければ味は分からないものですね。そのため、魚を知っているのは、やはり和食の板前さんであります。洋食・中華はもともと魚を食べる文化に乏しく、つい最近まで生魚を食べる文化がなかった為、あまり魚には詳しくは無いようです。和食屋さんや寿司屋さんに比べ、魚を仕入れる時間も遅いものです。
今では、養殖物の魚と天然物の魚を食べ分けれる方は実に少なくなりました。もちろん天然物のほうが圧倒的に味覚は上です。養殖物は年中出回るため、一般の方々は食材の旬を見分けれなくなってしまいました。つまり、工業化された食材や、過剰な調味料に包まれた加工食品しか口にする事が出来ず、食を失っている方々が実に多いと言うことでしょう。
{初夏の陸奥湾特産トゲクリガ二。カニ類の中で一番美味しいと言われています。}
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一番重要なことは、その魚が旬のものである事。
例えて言えば、タイの旬は一般的には、春と秋。‘桜鯛’と呼ばれる時期と‘紅葉鯛’と呼ばれる時期ですが、本当に美味しいのは春だけです。青森では、年中天然真鯛は獲れるのですが、自分は春しか使いません。
それも大きさは、800グラム~2キロまでのものです。しかも、雌に限ります。
たまに、メスは卵に栄養が偏って身はオスが美味しいという方がおりますが、人間で例えて言えば、男性と女性の肌では、どっちが、柔らかく綺麗かは、言うまでも無い事でありましょう。
3キロも4キロもある鯛は、頭を兜煮などに煮付けるのには美味しいですが、身の方は筋が固くて、お刺身などには向きませんし、繊細な味は乏しく大味です。ただなんでも、魚体が大きければ脂が乗って美味しい、見た目が立派であれば美味しいと、勘違いしている方も多いものです。
魚の旬というのは、人間の都合で勝手に決めたもので、魚貝類の立場から言えば、子孫繁栄の為、深場から浅瀬に、栄養を蓄え、産卵に来ただけの事ありますね。
産卵間近で、浅瀬に来ているから、人間が獲れるのでありますが、それが本当に美味しいとは限りません。
魚も人間と同じで、お一人ずつ気性が違うものです。
産卵に向けてたっぷり食事をしている魚もあれば、同じ網の中に、今のモデルさんのように、ただか細いだけで、みすぼらしい魚もいるものです。
よい魚を見分ける事は、実際魚屋さんに頻繁に通い、自分の目で確かめ、卸して食べてみることでしょう。
{夏が旬のオニカサゴ。威嚇して口を開けています。}
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ここでおさらいをすると、魚を選ぶ目安とは、
・旬である事。
・鮮度が何より美味しさである事。
・オスよりはメスのほうが美味しい事。
 (産卵直前は、オスを選ぶ。卵に栄養が行ってしまってる為)
・魚体が大きいからといって、美味しいとは限らない事。
 (小さい魚は繊細で味も優しい。大きいものは脂があっても、味は大味。)
・小さい魚は何より鮮度。すぐ食べる事。大きい魚は1~2日熟成させて、身を落ち着かせてから。
 (水揚げ日を確認し、小マグロは、早めに、大きいのは4~5日冷蔵庫で寝かせてから食べる。鮮度のいいマグロはすっぱくておいしくありません。)
・その魚の頃合を覚える。
 (どこからどこまでが美味しい大きさか覚えておく)
・出来れば、活締め(血抜きした魚)を選ぶ事。
・日本海側は繊細な味が多く、太平洋側は大味である事。湾内ものは繊細で濃厚。
・日本海側は白身魚がお勧め、太平洋側は赤身がお勧め。
・産卵後は、使わない。
・養殖魚は、出来るだけ口にしない。
 (養殖の魚は薬臭いと分ればいいでしょう。)
調理のポイントは、魚は微生物や菌から身を守る為、鱗とぬめりを体にまとっています。このぬめりが魚の生臭みの元であるので、よくよく包丁で、こそげ取る。
寿司屋さんのネタで、「ここのアナゴは美味しいよ!」と聞かされ、食べてみると生臭い経験をしたことはございませんか?
アナゴは鱗がない分、この生臭みのぬめりが他の魚に比べ多く付いています。アナゴを卸してから、皮目をよくよくしごいて、ぬめりを取っておかなければ、生臭いものになります。うなぎも他の魚も同じなのですが、この細かい作業を行うお職人さんは、あまりいません。
ちょっと手間や経験は、かかっても美味しい食生活は明日の自分を創る源です。
ちなみに、真鯛で例を挙げると、養殖の真鯛はキロ1000~1500円。天然物はキロ3500円以上です。
自分は、これを高いと思いませんが、皆様はどうでしょうか?
{津軽海峡産天然エゾアワビ。刺身も焼きも煮ても天ぷらも美味しいです。}
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年々天然の魚介類は、減少し続け、選ぶほど水揚げはありません。
それほど資源は枯れて、環境は破壊されています。
「高い。」と言って、安いものばかり食べている事が、「安物買いの銭失い」につながると思います。
添加物まみれのジャンクフードやパン食ばかりして、健康が作れるでしょうか?
朝、目覚めが悪い。風邪を引きやすい。いつもだるい。切れやすい。病院にかかりやすい。などなど、食生活が、万病を作ります。
添加物の多量摂取で、このような健康被害があるとは立証されてはいませんが、偏った食生活が、今までなかった現代病を作っているのは明らかですね。
安いだけが売りの、添加物まみれの食品を口にし、遅刻したり、休んだり、体調を頻繁に崩し、病院通いをし、薬代などを掛けるほうが、ずっとずっと高く、時間もロスします。
決して、高い食品を買うことを推奨しているわけではありません。
旬の出盛りの食材は、安く、美味しく、栄養価も高く、健康であります。
健康であるから、人生を謳歌できる事と思われます。
皆様の普段からの美味しい食生活をお祈りいたします。
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{ずらっと魚介類が並ぶ青森市魚菜センター。ここは飲食店の方が多いです。}
by tk-mirai | 2009-02-24 15:40 | Comments(0)

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