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おごそか(厳か)

{田名部神社内}
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荘厳なさま。伝統と格式があり威厳がある。
普段の生活では耳にする事の無い言葉。
「厳かなお祭りですよ。」の御客様の一言に誘われ、北へ車を走らせ、むつ市へ。
目的は‘田名部祭り‘。正式名‘田名部神社例大祭‘。
市になる前は田名部町。むつ市中心のいたるところに田名部の文字を目にする事が出来る。
お祭りが開催されるのは毎年八月十八日~二十日の三日間。お昼から田名部川沿いには屋台っこが軒を連ね、のんびりとしたお祭り気分が漂う。厳かというには程遠い。「夕方くらいにまたおいでなさい。」と言われ、少しばかり寒立馬とヒバの埋没林を見学に東通村へ。再び田名部へ。田名部神社へ向かうと境内には屋台が立ち並び、旗や幕が掛けられている。神殿を覗いて見るとそこには裃姿、お武家様のいでたちの方々、神主数名、大きな一文字を背負った長半纏姿の方々、ほら貝、横笛、太鼓、手振り鐘の囃し方など百数十名の人々が神事を行っている。玉串奉てんの後には町会代表の青年組頭と思しき方が神楽(獅子舞)を舞う。こ気味いい囃子のリズムに合わせて立ち振る舞う姿とその雰囲気、神事に厳かを感じる。とその後ろに「お参り済ませてからにしましょうね。」の言葉を耳にし、振り返ると子供ずれの家族。その情景には情緒を感じる。紺色のよれよれの着物に赤子を背負い、継ぎはぎだらけの子供の手を引き、屋台に心奪われる子供に「お参りしてからね。」と言い聞かせる。昔もこうだったろうという、母親の姿が目に浮かぶ。今も昔も変わらず、その土地の牽引役で地域に多大な貢献をしている指導者は神殿において神事を取り行い、市民は賽銭箱と大鈴を鳴らしお参り。出店を楽しむ。世代を超えて脈々と受け継がれるその行事に`田名部祭り`の伝統を感じる事が出来、感動を覚える。
この三日間だけは無礼講。聞くところによると、そもそも‘田名部祭り‘は五穀豊穣と町の先導者が使用人に対しお疲れ様の意味をこめ、酒や食べ物を振る舞ったのが始まりのようであると。
起源など詳しい事はあまり分からないが祭り期間は飲んで踊って騒げと、日々の仕事を癒す娯楽である事は世界共通と思われる。祭りには色々な一面があり、神楽やおしまこ流し、みこしなどなどがある様だが、クライマックスは二車別れ、三車別れ、五車別れと称されるきらびやかな山車を揃いの長半纏を身に着けた町会の大人、子供が引き、町を練り歩く。交差点、交差点で山車が背を向き合い(五町会があり、町会ごとに組名と神様の名の付いた山車がある。)交差点の中央に樽酒を置き、鏡割りをし、町会代表者たちが輪になり、掛け声と共に柄杓にて酒を酌み交わし、周りにも酒を振る舞い、来年またよろしくと、お互いの労を労い、がっちり握手をし、各町会に分かれていく姿は地域の絆を感じる事が出来る。
この期間は祭りが優先で車が来ようがお構いなし。山車の列が過ぎるまで車のほうが祭りを待たねばならぬ。それを三日三晩、朝から朝まで繰り広げるのだから、当たり前仕事はしなくて、無礼講と言うわけである。
全国に大規模な観光化されたお祭りが開催されている中において、‘田名部祭り‘は地域密着の祭りであり、そこに暮らす人々の情が、根強く感じられる貴重なお祭りでありましょう。
ここ十年来、若者のマナーが祭りを低下させているなど観光化してしまえばよいなどの色々な問題を抱えていると耳にしたが、それは全国共通の御様子。
お祭りを見て久しぶりに感動する事が出来、これから先も利益を追求した祭りなどにならない事を願います。
伝統と革新。どの分野においても、これからの世代がクリアーしていかなければいけない課題ではありますが、日本の文化を世界に広げる事が、争いの無い世界を開拓していく事になるのではないでしょうか。
厳かに。田名部の皆様ありがとうございました。
おごそか(厳か)_b0111551_16434965.jpg

{田名部祭り二車別れ}
by tk-mirai | 2007-08-22 15:00 | Comments(0)

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